ビジネス

2020.11.24

テスラ追撃のGM、「2.8兆円」をEV用電池と自動運転に投入宣言

GM メアリー・バーラCEO(2019年5月撮影、Getty Images)


しかし、バッテリーやEV向け部品のコストの低下や、世界で進むCO2排出量の規制の厳格化、さらには米国のバイデン新政権のEV普及政策が、GMの新戦略を後押しすることにつながりそうだ。

「EV関連のテクノロジーを磨き上げ、市場のリーダーになるというのは、決して容易に達成できるゴールではないが、当社はこの分野で勝てると信じている」とバーラは述べた。「当社は2025年までに、EV分野に追加で70億ドルを投資し、総額270億ドルをEVと自動運転テクノロジーに投入する」

一方でテスラは、史上最長となる5四半期連続の黒字化を達成し、時価総額が4730億ドルという世界で最も価値のある自動車メーカーとなった。同社は、年内のS&P 500入りを確実にし、株価をさらに22%も上昇させた。

しかし、テスラの製造キャパシティと収益は、GMに比べればわずかなものだ。マスクは、上海やドイツ、テキサスに新工場を開設しようとしているが、GMに匹敵する製造規模を実現するためには数年がかかるだろう。

GMは現在、EV版ハマーとキャデラックに加え、電動ピックアップを含む3つのGMCモデルなどのEV車を準備中だ。今月初めにGMは、EVテクノロジーの開発を加速するために、来年の夏前までに3000人のエンジニアを新たに雇用すると発表した。

GMは今年、水素トラックメーカーのニコラ(Nikola)との提携で注目を集めたが、バーラは、この件についてのコメントは避けた。

GMによると、Ultiumバッテリーの製造コストは、現在のボルトEVに採用されているものよりも約40%割安だという。これにより、新たに開発するEVの収益性を大幅に向上できる。そして、数年後には現在のUltiumよりもさらに割安なバッテリーが製造可能になり、GMの全ての製品ラインで部品を共通化することで、追加のコスト削減が実現できるという。

「GMのEV開発は加速しており、コストは急速に下がっている。当社のアルティウムEVプログラムは初期の段階から収益性の高いものになる」と、GMのサプライチェーン担当役員のダグ・パークスは話した。

GMの株価は19日のニューヨーク市場でほぼ変化が無く、42.82ドルで取引を終えた。

編集=上田裕資

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