3. 持続可能性と公衆衛生の両立
今後は小売店でのセルフレジの増加など、人との接触を避けられるようにする取り組みが増える見通しだ。再使用可能な包装材に代わり、使い捨て包装材は今後も多用されるだろう。しかし、持続可能性の目標が放棄されるわけではなく、日用消費財企業や小売企業は長期的な脱炭素化に重点を置いた取り組みを維持するだろう。
4. マーケティングのローカル化
都市部を去り、郊外や田舎に移る消費者が増える中、ローカルに特化したマーケティングが活発になるだろう。コンサルティング大手のアクセンチュアによると、消費者の3分の2は主に近所の店舗で買い物をしたり、地元産の商品を購入したりするようになった。
オーディエンスとのつながりを強化する上では今後、地元や個人に合わせたコンテンツがさらに重要になるだろう。マーケティング側が投資利益率の改善に奮闘する中、ローカライゼーションはマーケティングの自動化やデータマイニングも加速させるはずだ。
5. 「おうち経済」の発達
米国人は現在、公私ともに自宅で時間を過ごすようになっており、大手ネット娯楽サービスの利用は急増している。経済活動の再開にあたり、4分の3近くの消費者は過去に外出して行っていた活動を再開させることをためらっている。懸念の対象となっているのは美容室やジム、レストランだけではなく、特にオフィスや公共交通機関、ライドシェア、旅客機など、多数の人が集まる空間だ。
こうした混乱の中、消費者行動は新型コロナウイルス流行が収束/終息後も、それまでの「ノーマル」な生活には戻らないかもしれない。米国人は今後も安全のため、家で過ごす時間が増えるだろう。生活の構造が根本から再形成されることになる。例えば、今住んでいる地域での暮らしを考え直し、田舎に引っ越す人が増え、都市化のトレンドが逆行するかもしれない。
こうした大きな変化により、マーケティング側は顧客に対するこれまでの考えや、顧客とのコミュニケーション方法を再考する必要がある。今後は、オムニチャネルのマーケティング戦略が生き残りに欠かせないものとなる。また、遠隔勤務や「おうち経済」が広まり一般化することで、人々の生活や仕事、買い物の場所は変化する。それによって消費者に対しても新たな形でアプローチすることが必要とされるようになる。
企業は今後、常に変化する新たなマーケティング環境の中で機敏に行動し、イノベーションを起こし、実験をいとわない心構えを持つことが必要となる。