アメリカの3月の雇用統計は市場の予想を下回った。寒波による冬場の大雪やドル高、原油安等の複合要因によるものと思われる。これによりFRB(米連邦準備理事会)の6月の利上げは見送りとなる見込みだ。
米国労働省の発表によると、3月の非農業部門雇用者の増加数は12.6万人。市場予想の25万人増をはるかに下回り、2013年12月以来の低水準となった。
部門別にみると、専門職や企業部門、ヘルスケア部門や小売業では雇用の改善が見られた。採掘部門では原油安を受け1.1万人の雇用減となった。しかし、雇用増が見られる部門においても、その伸びは、直近12か月の平均と比べると鈍化傾向にある。
ウィルミントン・トラストのチーフ・エコノミスト、ルーク・ティリー氏は「製造業はドル高を受けて2か月連続で勢いがない。大手多国籍企業にとってもドル高は逆風であり、海外からの利益が目減りしている。この流れでいくと、買手は他国のより安い製品へとシフトすることも考えられる」と指摘した。
今回の他の主な公表データは以下のとおり。
現在、1億4,830万人の米国の就労者中、失業者は前年同期比180万人減の860万人。
一時間あたりの平均賃金は7セント増の24.86ドル。12か月の賃金上昇率は2.1%。民間の製造部門や非管理職雇用者の一時間あたりの平均賃金は4セント改善し20.86ドルになった。
労働参加率は62.8%から62.7%に減少したが、この数字は昨年4月以降62.7%から62.9%の狭い範囲内で推移している。正規雇用率(対人口比)は1月以降59.3%に留まっている。