銅を織り込んだコート、コロナ感染予防に効果?

Products of VForce Collection by New Designers Space

衣料品デザイナーらは、消費者の新型コロナウイルス対策を支援すべく、さまざまな工夫を凝らすようになっている。多くは今年3月以降、マスクを含む個人用防具(PPE)などユニークな商品作りを開始。そしてこの度、米国で登場したのが、新型ウイルス感染予防効果をうたうコートだ。

米アパレル企業ニュー・デザイナー・スペースは、素材に銅を使用したコートやジャケットを展開する「Vフォース・コレクション」を立ち上げた。価格は170〜195ドル(約1万8000〜2万円)だ。

同社のボブ・チャン代表は「ウイルスは簡単に服に付着するため、家族が危険にさらされる可能性がある」と説明。このコートにより、細菌や病原菌、ウイルスへの感染を防げる可能性があると語った。

「デザインはシンプルで着やすく、日々の生活や食料品の買い出し、屋外での活動、旅行、さらには通学・通勤といった場面でウイルスの拡散防止に役立つ保護機能がある」(チャン)


Products of VForce Collection by New Designers Space

チャンによると、布地は高周波シールと呼ばれる手法で作られ、銅を織り込んだ超低密度エラストマーを使用。付着した細菌やウイルスを破壊する効果があるとされる。

チャンは「試験結果からは、布地には微生物のDNAやRNAを効果的に破壊する作用があることが示されている。当社の熱可塑性ポリウレタン(TPU)の布地には銅が1%ほど混合されている」と説明した。

ではこのコートを着れば、新型コロナウイルスの感染を防げるのだろうか? 理論上は可能だが、実際にはおそらく不可能だろう。銅には細菌の広まりを防ぐ効果があることは以前から知られてきたが、それでも新型コロナウイルスを完全に死滅させることは難しい。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、科学者らは銅が大腸菌やサルモネラ菌、インフルエンザウイルスなどの拡散を抑制することは事実であり、コロナウイルスの拡散スピードを鈍化させる可能性もあると考えている。

同紙は、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)で発表された研究結果を紹介。研究室で行った実験では、新型コロナウイルスが銅の表面では数時間で死滅した一方、ステンレス鋼やプラスチックの表面では2、3日生存することが分かった。
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編集=遠藤宗生

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