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Justin Sullivan/Getty Images

米電気自動車(EV)メーカーのテスラが、S&P500種株価指数の構成銘柄に選ばれた。たしかにその時価総額から見れば、テスラ株の採用は当然とも言えるが、S&P500にとってはリスクもありそうだ。

S&P500は、米国の証券取引所に上場している大手企業500社の株価の動向を示す指標で、テスラは12月21日に追加される。ただ、テスラの時価総額がファンダメンタルズに見合っているのかどうかについては、マーケットウォッチャーの間でも議論があり、いずれ株価は急落するとみる人もいる。

テスラの現在の時価総額はおよそ4000億ドル(約41兆5600億円)。米ゼネラル・モーターズ(GM=約600億ドル)、米フォード・モーター(約350億ドル)、トヨタ自動車(約2000億ドル)といった伝統的な自動車メーカーをはるかに上回る。

半面、テスラの売上高は300億ドル足らずにとどまっている。そのため、テスラが利益を出しているときには株価収益率(PER)は途方もない高さになる。もっとも、テスラはキャッシュフローをプラスにするのに、カーボンクレジット(二酸化炭素の排出枠)の販売に頼っているのが実情。つまり、政府が用意した副次的な市場がなければテスラは利益を出せていない。

テスラファンは、テスラの株価がこれほど高くても適正だと主張する。テスラには大きな潜在力があるから、というのが理由だ。そうした見方は正しいのかもしれない。テスラは販売の面でもブランドの面でもEVのリーダーだし、車の未来がEVであるならテスラはたしかに優位に立っている。

とはいえ、ライバルは存在する。GMなどもすでにEVを手がけており、日産自動車は2010年からEV「リーフ」を販売している。トヨタはハイブリッド車(HV)が充実している。

EV市場に参入する企業も続々と現れており、それにはテスラの元従業員が立ち上げたスタートアップも含まれる。また、フォードは電池も自社で生産したい考えだが、テスラはEVの心臓である電池を相変わらずパナソニックに依存している。

S&P500は2つの理由から重要だ。まず、S&P500はそれ自体に投資対象することもでき、こうしたインデックス投資は現時点で非常に規模が大きいこと。もう一つは、こちらのほうがより重要だが、S&P500は米国の株式市場の状態を示す主要3指標の一つであることだ。

S&P500は時価総額で加重平均して算出されるため、米アップルや米アルファベットなど時価総額の大きい大型株の値動きによって大きく左右される。したがって、今後EVが失速したり、競争が予想以上に厳しくなったり、あるいはたんにテスラのメッキが剥げたりしてしまえば、テスラの高い時価総額やPERはS&P500、さらには米国の株式市場全体に非常に大きな問題となりかねない。

とくにS&P500で長期のインデックス投資をする人は、テスラの将来性が4000億ドルという時価総額が示すほど高いものなのか、いちど検討してみる必要があるだろう。

編集=江戸伸禎

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