コロナで盛況の電子商取引、裏に潜む大きな弱みとは?

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新型コロナウイルスの流行により飲食業界が大打撃を受け、娯楽業界は停止し、旅行業界は対応に追われ、家族経営の小規模事業が相次いで店じまいを強いられる中、電子商取引に関わる人は、自分たちだけが生き残ったという罪悪感を少し持っているかもしれない。

オンライン事業の新型ウイルス流行下での業績は、まるで季節違いの年末商戦のようだった。これは米国だけでなく、世界各国でも同じだ。アラブ首長国連邦(UAE)では、90%以上の消費者がネットショッピングに移行した。

こうした状況からは、電子商取引の未来は順風満帆と思えるかもしれないが、これには隠れた問題がある。電子商取引は物流なしでは成り立たないのだ。

コロナによる流通経路への大きな影響


電子商取引は、物流とロジスティクスに依存することが大きな弱みとなってきた。新型ウイルスの流行が始まると、物流には即座に混乱が生じた。物流金融コンサルティング・仲介企業カラザス・マリーン・アドバイザーズ・アンド・カンパニーのバジル・カラザス最高経営責任者(CEO)は3月、物流業界のあらゆる面が打撃を受けていると語った。

「物流企業や、ターミナル・港など関連業界の業務は、従業員が移動や出勤を控えるよう勧告されたことで影響を受けてきた」(カラザス)

カラザスはさらに「サプライチェーンとロジスティクスも影響を受けてきた。例えば、中国ではトラック業界も崩壊した。政府が移動制限を課したことにより輸出用コンテナが積み降ろし場所に到着できなくなった上、荷揚げ船を待つ輸入用コンテナが積み下ろし場所にたまり続けた」と続けた。

こうした状況により、電子商取引の裏では問題が生じてきた。中国などの地域では市場が回復しているものの、独調査会社のスタティスタによると、深刻なシナリオでは北米の海運・空運市場が前年比でそれぞれ12.1%と9.5%縮小すると予想されている。電子商取引が小売の未来だとすれば、それに必要な流通経路を強化する必要がある。
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編集=遠藤宗生

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