MIYAVI:すでに世界で活躍している青年たちとの対話も楽しかったですし、参加していた例えば、高校生たちが部活などができない中で、「それでも何かしたい」と思っているあの熱こそ、この国のパワーそのものだと思う。
国を作るのはリーダーではなく、結局僕たち。僕たちのパワーが積み重なったものが国力となるリーダーに批判の矛先が向かいがちですが、リーダーのレベルも僕たちのレベルであり、僕たちのレベルが低ければ、リーダーのレベルも低くなる。それを僕たちは忘れてはいけない。気づけば何か想定外のことが起こったり、都合の悪いことがあると「あれが悪かった」「これが悪かった」と人のせいにしがちです。まず、自分たちを見てみようぜ、と。
話は少しずれますが、デモもそうですが、僕は個人的に否定から始まることに生産性を感じません。だったら、「何ができるか」。今いる立場で何をするのかという行動ありきではじめて何かを変えることができると思います。今回、「Hack the World」で、全国の高校生や若い世代が、小さいことでも行動しようとしていることが素晴らしいと感じたし、それをつなげることで、新しい熱を帯びていくのはすごく意義のあることだと思いました。
参加者の数は少ない。ですが、それも含めていまの日本だと思います。ただ僕は、50万人がなんとなく流れてくるバラエティ番組を見るよりも、3000人が本気で参加している方がやる意味があると思うし、確実に未来とつながっていると思う。僕は僕でやっている自信があるからパーソナリティをやらせてもらいましたが、これは僕の番組ではなく、参加した皆それぞれの物語で、それぞれの物語をどう変えていくか、という「場」。次にどういう動きが起こっていくのか、どう繋げていくのか、を楽しみにしています。
とにかくみんなまっすぐにぶつかっていく人たちに未来を感じたし、こういう人たちがもっと輝いて活躍する場所ができれば日本ももっといけてる国になるのではないか、と強く感じました。
宮城:Z世代の若者たちを見ると、本当に自分が大事だと思うこと、やりたいと思うことにストレートに向き合おうとしている感覚がすごくあります。それは私たち人類がずっと求めてきた自由や豊かさの行き着く先のようにも感じられ、僕らの世代の「世の中の物差しに踊らされている」感覚とは明確に違う。
とても眩しく感じる一方で、そうしたセンスを持ちながら、自由に気がついていない人たちも多いという印象もあります。自由であるがゆえに何をやったらわからないという若者や社会に合わせようとするもののうまく合わせきれずに苦労している若者たちも多くいる。むしろ彼らの方がマジョリティだと思う。
今回登壇してくれた「Vision Hacker」の人たちは、大きなことをしているからいいとか、成功者になるという感覚ではなく、素直に自分が大事だと思い、面白いと思ったから挑んでいる。だからこそ、若者のマジョリティのみんなにインパクトがあるのではないでしょうか。
最近の若手起業家は、既存の枠組みはあてにならないと、「自分の枠組みは自分で作る」という人が増えた印象です。ETICは2000年から、起業家の中でも社会起業家のチャレンジを応援しています。悲壮感や「やらねばならぬ」と歯を食いしばっていた昔の社会起業家と比べると、Z世代の若者たちは「ソーシャル・グッド・ネイティブ」。社会や地球に役立つことを自然体に、ナチュラルにできる。世の中にいいことをすることが、肩肘張らずにやっている。
そういう彼ら彼女らの生き様が次の時代を作っていくと思っています。世界中で最も多いZ世代がオンラインで繋がった若者たちの価値観の変化が、消費社会も政治も変えていく。若者たちが描く、挑戦する未来が、そのまま世界の未来になると思っています。「Hack the World」の取り組みから感じたのはまさにそのことだと思っています。