国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)の親善大使を務めるミュージシャンのMIYAVIが、メインパーソナリティとして開催・配信された「Hack The World開会式」。Z世代を中心とした若者たちとNPO法人ETIC.、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、NHKエンタープライズが協働して進めている「Hack The World」プロジェクトの開会式が2020年7月24日、行われた。
同プロジェクトでは、「自らのビジョンで、現在や未来の世界の風景を書き換えようとする人」を「Vision Hacker」と称している。東京五輪の開会式だった日に行われたこの開会式では、MIYAVIと若きVision Hackerたち、参加者たちとの対話が4時間半に渡り行われ、Z世代を中心とした約3000人が参加した。
「2020年って、明るい未来がはじまるはずじゃなかったっけ。ひとつのウイルスによって、世界の風景が次々と書き換わっている。でも、それでいいのか。そうじゃない。私たちが書き換えるのだ」
という宣言文で始まるこのプロジェクト。MIYAVIは若者たちとの対話を経て、いま、何を思うのか。主催者であるETIC.代表の宮城治男、注文をとるスタッフ全員が認知症の人たちという「注文をまちがえる料理店」、みんなの力でがんを治せる病気にするプロジェクト「deleteC」などを主導し、今回のプロジェクトではプロデューサーをつとめる小国士朗と鼎談をしてもらった。
「自分のビジョンで世界を書き換える」Hack the Worldの価値観
MIYAVI:いやー、疲れましたよ。(4時間半あるのを知らなかったので)最初から言ってくれよ、と(笑)。でも疲れたのが、嫌な疲れではなく、気持ちのいい疲労感だった。ただ、僕はそもそもパーソナリティではないし、一応、サムライギタリストなので(笑)、つとまるかどうか不安もありましたが、香川県の中学生やアフリカなどで事業をする起業家の青年と同じように、この企画書を見た時に、やる「意義」を感じたし、「熱」を感じた。
「自分のビジョンで世界を書き換える」Hack the Worldという意思や姿勢は、僕が自分の歌詞で歌っていることでもあり、日本を飛び出して世界を舞台にしてきた自分の人生や生き方に重なる部分でもある。僕はそういう考えで生きてきたつもりだし、その上で、自分にできることがあればと参加させてもらいました。
宮城:僕ら主催者が大事にしてきた眼差しは、若者支援ではなく、「若者たちとフェアな視点で、次の時代を一緒に作り出していこう」ということ。20世紀的な物差しに縛られていない、彼ら彼女らの価値観や感覚と向き合って、「一緒に仕掛けて、進化したい」という思いがありました。
今回、メインパーソナリティーを務めていただいたMIYAVIさんにその考えや価値観を体現していただきました。一緒になって、ワクワクしていただいたし、励ましていただいたし、作っていこうぜという感覚を伝えていただきました。挑戦してきた人生の先輩であると同時に、同志のような感覚で若者たちを見ていただいたし、興味を持っていただいた。
私たちがイメージしていた「フェアな眼差し」というのを体現していただいて、本当にありがたかったです。「Hack the World」のコンセプトやメッセージが、MIYAVIさんや若者を通じて、伝えられたという満足感があり、いいキックオフだったと思っています。