しかし、エアビーアンドビーの最終損益は今年4~6月期まで3四半期連続で赤字が続いた後、直近の7~9月期は2億1900万ドルの黒字に転換している。背景には、ここ最近の国内市場への注力が功を奏したことがあげられた。
ブルームバーグによると、エアビーアンドビーはナスダック市場への上場で、30億ドルの調達を目論んでおり、2020年の最大規模のIPOになる見通しだ。同社の9月末時点のホスト数は400万以上で、その86%以上が米国外だとされている。掲載中の宿泊場所やエクスペリエンスの件数は、740万件を突破しているという。
エアビーアンドビーは、2008年に現CEOのブライアン・チェスキーと、Nathan Blecharcyzk、Joe Gebbiaらによって設立された。Blecharcyzkは最高戦略責任者(CSO)と中国事業の会長を務めている。Gebbiaは最高プロダクト責任者を務めている。
パンデミックの初期に停止状態に陥った同社にとって、今回のIPOは大きな転機となりそうだ。今年4月に同社は、資金難に陥り、シルバーレイクやSix Street Capital から20億ドルを借り入れ、全社員の25%に相当する2000人をレイオフしていた。
エアビーアンドビーのIPOが成功した場合、セコイア・キャピタルやアンドリーセンホロウィッツらも巨大なリターンを得ることになる。
開示資料によると、エアビーアンドビーのCEOであるチェスキーは、発行株式の約15%を保有しており、BlecharczykとGebbiaらはそれぞれ13.5%を保有している。
今年4月時点のエアビーアンドビーの企業価値は260億ドルとされており、チェスキーの持ち株の推定価値は推定35億ドルで、残る2人の持ち株の価値はそれぞれ32億ドルだった。
エアビーアンドビーの初期出資元としては、セコイアやGreylockに加え、俳優のアシュトン・カッチャー、リンクトイン共同創業者のReid Hoffman、さらにジェフ・ベゾスなどが知られている。
損失の拡大にも関わらず、エアビーアンドビーの事業には回復の兆しが見られている。第3四半期の予約総額は前年同期比18.5%減だったが、これは第2四半期に記録した前年同期比75%マイナスという数値に比べると、大幅に改善していた。
しかし、パンデミックの第2波の到来でエアビーアンドビーは再び苦境に直面する見通しだ。「今年3月頃と同様に一部の地域では予約が減少している」と同社は述べている。