ロイターと調査会社イプソスが11月13~17日に行った世論調査から明らかになったのは、選挙での敗北を認めず、それを裏付ける具体的な証拠がない一方で「不正があった」と訴え続けるトランプの主張が、支持者の間にいかに広く行き渡っているかということだ。
回答者の73%は、「大統領選で勝利したのは民主党のジョー・バイデン候補」だと答えた。だが、共和党の支持者の間では、「バイデンが正当な勝者だ」とした人は29%にとどまっている。
選挙が「合法かつ正確に行われたか」との問いに対して、「そう思う」と答えた人は55%だった。また、そう答えた共和党支持者はわずか16%だった。
前回2016年の選挙では、民主党のヒラリー・クリントン候補がトランプに敗北した結果が「正当であり、正確だ」と答えた人は62%だった。そして、同様に答えた民主党の支持者は52%だった。
そのほか、今回の選挙について「違法な投票、または不正な操作があった」との見方を示した回答者は28%となっており、前回の選挙と比べて12ポイント増加していた。
一方、17日に結果が発表された調査会社モーニングコンサルトと政治サイト、ポリティコの調査でも、選挙結果は勝者を決定するのに「ほぼ、または間違いなく信頼できる」とした共和党支持者は、27%にとどまっている。
この調査では、共和党を支持する人の67%が、今回の選挙は「自由で公正」なものではなかったと考えていることが分かった。多くはその根拠として、トランプが主張している次のような理由を挙げている。
・郵便投票が幅広い不正投票につながった(77%)
・投票用紙が改ざんされた(76%)
・監視員が開票所への立ち入りを拒否された(61%)
ただし、これらの主張を裏付ける実質的な証拠は示されていない。
与党は敗北宣言しないトランプを支持
選挙の結果、バイデンが獲得した選挙人は306人となっている(勝利には270人が必要)。それにもかかわらず、トランプはこの結果を認めることを拒否。トランプ陣営は投票や開票に不正行為があったとして、激戦州で訴訟を乱発し、結果を覆そうとしている。
トランプのそうした“陰謀説”については、信用に足る証拠が明らかにされておらず、虚偽であることが分かっている。共和党の選挙関係者からも、「選挙は円滑に実施され、広範に及ぶ問題はなかった」との見解が示されている。そして、トランプ陣営は訴訟の一部を取り下げている。
だが、共和党幹部や閣僚、議員の多くは、「選挙が不当に“操作された”」とのトランプの主張に同調。リンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州、上院司法委員会の委員長)は、激戦州の州当局者に対し、合法的に投じられた票の破棄を求めたと伝えられている。
また、ミシガン州ウェイン郡では、共和党支持の開票点検委員が当初、投票結果の承認を拒否。その後、市民らの反発を受けて態度を変えている。