Photo by Al Drago for The Washington Post via Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領の存在感が、薄くなり始めている。選挙に不正があったとして激戦州で乱発していた訴訟の一部が取り下げられても、与党・共和党の議員らが次々と民主党のジョー・バイデン候補の勝利を認め始めても、何もコメントせずにいる。

バイデン前副大統領の勝利が決定的になっているにもかかわらず、トランプは11月16日、自身が「勝利した」とする誤った内容の投稿を含め、約40回にわたってツイート(またはリツイート)。だが、その翌日はいつになく沈黙を守った。

さらにトランプは、米国が公衆衛生と経済において複数の危機に直面しているにもかかわらず、17日も公務を行わなかった。バイデン勝利の選挙結果が示されてから10日間、公の場で発言したのは1度だけだ。

トランプがそうして黙り込むなか、上院共和党の有力議員の一部からは、バイデン勝利を認める発言が相次いでいる。マルコ・ルビオ議員(フロリダ州)は、バイデンを“次期大統領”と呼び、ケビン・クレイマー議員(ノースダコタ州)は、「トランプが勝利する可能性は“ますます低くなっている”」との見方を示した。

ジョン・コーニン議員(テキサス州)は、「来年1月20日には大統領が就任すると確信している。そして就任するのは、おそらくジョー・バイデンだろう」と発言。また、マイク・ラウンズ議員(サウスダコタ州)も、「大統領はバイデンになるとみられる」と述べている。

これまでのところ、トランプが選挙結果を覆すために起こした訴訟は、ほとんどうまく行っていない。16日には激戦の4州(ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン、アリゾナ)とジョージア州で提訴を取り下げた。

このうちペンシルベニア州では、訴訟を担当していた弁護士が相次ぎ辞任。また、アリゾナ州ではトランプ陣営が、裁判で争っても選挙結果が変わることはないことを認めている。

共和党ではこれまでに、ジョージ・W・ブッシュ元大統領やダン・クエール元副大統領をはじめ、上院議員9人、下院議員10人、知事6人が、バイデンが勝者との見方を明確に示している。

共和党ではそのほか、ダン・コーツ元国家情報長官、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)をはじめ、トランプ政権で主要なポジションに就いていた複数の元高官たちも、今回の大統領選の勝者はバイデンだと認めている。

今回の選挙で再選を目指さなかった共和党のポール・ミッチェル下院議員(ミシガン州)は、17日にCNNの番組に出演。次期大統領はバイデンだと認めたほか、トランプが起こしている訴訟について、「大統領は失敗した」と明言。

同議員はこの前日にはツイッターで、「この国の利益のために必要なのは、効率的な政権移行だ。それに取り組もうではないか」と述べている。

強まる「政治空白」への懸念


バイデンは16日、トランプが選挙後にほとんど公務を行っていないことを批判。新型コロナウイルスを巡る追加の経済刺激策について、「大統領がまだ何もせず、ゴルフをしているというのは理解に苦しむ」と苦言を呈した。

また、「協力し合わなければ、より多くの国民が死亡する恐れがある」として、トランプ政権が選挙の勝敗の確定と政権移行に対する正式な承認を拒否しても、移行に向けた準備を進めることは可能だと主張している。

バイデンはすでに、ホワイトハウスの上級職の多数について、任命する人物の氏名を公表。現在の政府高官から機密情報についてのブリーフィングが受けられないなか、17日にはその代わりに、元高官たちから国家安全保障に関する説明を受けた。

編集=木内涼子

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