世界は、新型コロナウイルス感染の合併症や後遺症として、いま心筋障害に注目している。米科学誌『サイエンス』は9月18日号で「精査が進むウイルスによる心筋障害」という記事を掲載しているし、9月18日、米国小児科学会は、新型コロナウイルス感染から回復し、運動を再開する際には心電図検査が必要と勧告している。
さらに、米ノースウェスタン大学の研究チームは、9月30日の『米医師会誌(JAMA)』に、「COVID-19と駆出率が維持された心不全」という論文を発表している。この駆出率が維持された心不全とは、主に拡張不全による心不全のことだ。
詳細は省くが、新型コロナウイルスへの感染により、潜在的な心不全患者が悪化する可能性があると論じているのだ。つまり、新型コロナウイルスの心筋感染は、その後、心不全を発症する危険因子となるかもしれないのだ。たとえ感染して無症状であっても、数年後に心不全を発症する可能性があるということだ。
合併症や後遺症の研究が進む
世界の医学界や科学界では、新型コロナウイルス感染での合併症や後遺症について、心臓障害以外についてもさまざまな研究が進んでいる。しかし、この事実については、日本のメディアはほとんど取り上げていない。
日本でも、新型コロナウイルス感染拡大の第3波を迎え、これからもコロナ禍は拡大するだろう。油断することなく、最新の医学研究の成果を踏まえた、合理的な対応が必要であることは、言うまでもない。
連載:現場からの医療改革
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