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現場からの医療改革


これは世界中の新型コロナウイルス対策を一変させた。図1をご覧いただきたい。日本と欧米主要国の第2波における新型コロナウイルス感染者の死亡率が、全ての国において改善していることがわかる。これは高齢者が家に閉じこもり、感染しなくなったわけではない。

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図1 出典:厚生労働省人口問題研究所 医療ガバナンス研究所 山下えりか *陽性率に対する死亡数の場合。全数は年齢不明を含む。

図2は、日本における年齢層別の死亡率の推移を示す。全ての年齢層で死亡率が改善していることがわかる。

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図2 出典:厚生労働省人口問題研究所 医療ガバナンス研究所 山下えりか *陽性率に対する死亡数の場合。全数は年齢不明を含む。

ただ、これで新型コロナウイルス対策は解決というわけにはいかなかった。新たな問題が出現したのだ。その1つが心臓合併症だ。

7月27日、独フランクフルト大学の医師たちは、MRIを用いて、100人の新型コロナウイルス感染から回復した患者の心臓を評価したところ、78人で異常陰影を確認し、60人では活発な炎症所見を認めたと『米医師会誌(JAMA)心臓病版』に報告している。感染の診断とMRI撮影までの期間の中央値は71日(範囲64~92日)。おそらく、新型コロナウイルス自体は体内から排除されており、心筋の炎症は後遺症だ。

同様の所見は、別のグループからも報告されている。9月11日、米オハイオ大学の医師たちは、新型コロナウイルス感染症から回復したサッカーやフットボールなど大学の運動競技選手26人の心臓を調べたところ、4人に心筋炎の所見を認めたと『米医師会誌(JAMA)心臓病版』に発表している。

この研究で特記すべきは、12人が軽症、14人が無症状だったことだ。新型コロナウイルスは軽症や不顕性感染でも、心臓に大きなダメージを与えるようだ。この事実は重い。なぜなら、心筋炎は不整脈を合併することが多く、時に突然死に至るからだ。

最近、世界各地から新型コロナウイルス感染者の突然死が報告されている。10月21日、CNNなどの米メディアは、今年7月に米テキサス州在住の30代の女性が、新型コロナウイルスのため、航空機の機内で亡くなっていたと報じた。

女性には基礎疾患があったようだが、少なくとも飛行機に乗り込める健康状態ではあったので、肺炎の進行による呼吸不全は考えにくい。彼女の突然死の原因は何だったのだろうか。これまで、女性の死因は公表されていないが、心筋炎であってもおかしくはない。

文=上 昌広

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