コロナで打撃受けた都市部、力強い復活の展望

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新型コロナウイルスの流行は、都市の死につながるか、それとも大都市はかつてないほど力強く復活を遂げるのかという問いについては、専門家の意見が割れている。そこで私は、都市のエキスパートである上に、今回のような危機に直面した都市のレジリエンス(回復力)について詳しい人物に話を聞いた。

非営利団体レジリエント・シティーズ・カタリスト(RCC)を創業したマイケル・バーコウィッツは、都市が抱える問題と、そうした問題から都市を解放する方法を分析することをキャリアとしてきた。バーコウィッツは果たして、都市が今回ほどの危機を克服できると考えているのだろうか?

新型ウイルスの流行は、密集した都市環境にとっては芳しくないものだ。ニューヨークやサンフランシスコではこの夏、人口流入が前年同期比で20%以上減少。一方、ジャクソンビルやソルトレークシティーなどの郊外や準郊外、小都市では人口が増加した。

バーコウィッツは都市が何らかの形で変化すると考えているが、これが「人口が密集した都市生活の終わり」になるとは予想していない。新型ウイルスによる人口流出が起きる前、都市部は世界人口に占める割合が55%にもかかわらず、世界の国内総生産(GDP)の80%を生んでいた。これほどまでに高い生産性と、都心で行われてきた投資をあきらめるのは難しい。

バーコウィッツは、現在のような状況でも世界的な都市化スピードは下がっておらず、新型ウイルス流行が収束すれば「コロナ後の不況から抜け出すために、富やイノベーション、文化の原動力としての都市が必要になるだろう」と語る。

成長を続けるために、都市生活はどのように変わる必要があるのだろう? 2011年の米同時多発テロへの対応に関わったバーコウィッツは、ニューヨークがどん底から立ち直り、高層ビルが立ち並ぶオフィス街として復活する様子を直に目にした。これは当時、多くの人が不可能だと思っていたものだ。

その後の20年で、世界は多くの変化を経験した。特に顕著なのがテクノロジー分野だ。バーコウィッツは遠隔勤務が「都市の形や性質をいくらか変化させる」ことを認めつつも、他者との対面で協働すべき強い理由のある「クリエーターやイノベーター、物作りをする人」などの職業が恩恵を受けるかもしれないと語る。
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編集=遠藤宗生

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