選手が前日は何時間寝たか、今朝は何を食べたか、体重の変動は。筋肉痛はないか、モチベーションが上がっているかなどのコンディションを効率よく管理できるため、パフォーマンスの向上が期待できる。もともとは、エディー・ジョーンズ監督時代のラグビー日本代表チームのために開発され、その後、より多くのスポーツに使えるように生まれ変わった。
現在、ワンタップスポーツ導入チームはプロアマ含めて68競技1200チーム(2000年6月末時点)。新型コロナ以前の350チームから急増した。
「いま、僕らに何ができるのかを考え、3月上旬にサービスの一部機能を無料開放した影響もあるでしょう」と、開発元であるユーフォリアの宮田誠は言う。
それまでどおりの練習ができなくなったチームが、遠隔で選手のコンディション管理をし始めたのだ。
「もう、ワンタップスポーツなしでのチームづくりは考えられない」と語るブラインドサッカー男子日本代表の高田敏志監督も「最近はほかの競技の指導者から『ワンタップって使える?』と聞かれることが増えました」と話す。「『使えるか』ではなくて、『どう使うか』なんですけどね」。
取得できるデータの種類は“無限”。すべての競技に共通の項目は全体の3割ほどで、ほかの項目は競技に合わせて追加してきた。ここまでなら、ユーフォリア以外の企業も追随できたかもしれない。ほかのサービスと組み合わせれば、試合中の走行距離や水分摂取量などの管理も可能になる。
ただ、項目には客観的なものと主観的なものがある。前者は、体温や体重、心拍数など、測定機器が明示し、入力すら自動化される。一方、後者は、疲れ具合ややる気など、選手本人の自己申告と手入力に頼らざるを得ない。
そこに、日本で多くの選手に試してもらってきた成果が生きている。多少体調が悪くても「自分は大丈夫」と、良い数値を入れてしまう選手も多い。こうした傾向に流れがちな人が「正しく」入力できるような工夫が、インターフェイスにちりばめられているのだ。