ハイエンドトラベラーが旅に求める「アート」が持つ6つの意味

弘前にオープンしたての弘前れんが倉庫美術館では奈良美智作の巨大な犬の立体作品がお出迎え《A to Z Memorial Dog》2007年 ©︎Yoshitomo Nara Photo: Naoya Hatakeyama提供:弘前れんが倉庫美術館


6. アートはイノベーションの源泉


もう一つ、アートがもたらす最も重要な役割が革新性です。アーティストが社会の課題を浮き彫りにし、そこに対する解決策や未来像を提示することで、人々に新たな視点を投じ、社会構造やコンセプトなどのイノベーションが生まれます。

また、アートはコミュニケーションを誘発します。必ずしも美しかったり解かりやすいものばかりでなく、中には不快にさえ感じられる作品もあります。だからこそ見るものに「これってなんだろう?」「なぜこれがこんなところにあるのだろう」と考えることを触発し、その疑問や感覚を他人と共有する中でコミュニケーションが生まれ、そこから新たなものの見方を得られるのです。

鎌倉でUrban Cabin Instituteが提供している“Urban Cabin BLACK”という焼けた古民家の中で展開されるアート体験を訪れたハイエンドトラベラーからは、以下のような感想が寄せられました。


Urban Cabin BLACKを体験するハイエンドトラベラー

「意識と無意識の間を行き来する旅でした。体験しながら禅の普遍性を感じました。今まで見たことも感じたこともないユニークな体験で、自分のクリエーションのヒントを得ることができました」

「自然の強さ、力、美しさへの深い感謝を感じました。壊れたものから新たに生み出される力にインスパイアされ、自分の人生にもっと多くのスペースを作成する肉体的、精神的な能力を獲得できたと感じています」

「とても開放されて、他の人との協働がしやすい気持ちになりました。都会のストレスが多い生活から本当に抜け出せた感覚です」

このように、アートはコミュニケーションや新しいものの見方を提供してくれるイノベーションの源で、アートのないところにイノベーションは生まれないといっても過言ではありません。自ら問題提起をし、解決する方法論を見つけ出すというアート的な視点を、様々なサービスや産業が取り入れることで、ブレイクスルーが生まれる社会になってほしいと願います。

文=山田 理絵

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