読書量と読解力は比例しない 「ハーバード流」読み聞かせ

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「どう思う?」と「なぜそう思う?」


ダイアロジック・リーディングでは、「対話」の基本的な流れは、「PEER(Prompt, Evaluate, Expand, Repeat)」と呼ばれるシーケンス(順序)に沿って行われますが、その大きな柱となるのは2つの問いかけです。

「あなたはどう思う?(What do you think?)」
「なぜそう思う?(Why do you think so?)」

前者は自分の考えをことばとして出させるための問いかけであり、後者はその考えを論理的に整理し、より深掘りさせるための問いかけです。この2つの問いはセットにして使うことでより効果を発揮します。

日本人は「なぜ?」と質問されることが苦手だとよく言われます。純粋に理由を聞かれているだけなのに、なんとなく非難されているような気持ちになる人が多いからでしょう。しかし、欧米では小さなときから当然のように親から聞かれるのです。

もちろん子どもが2〜3歳のうちは「Why?」の問いは難しいですが、4〜5歳になると答えられるようになります。

こうした問いかけをされながら絵本を読むことが習慣になると、いずれ1人で本が読めるようになったとき、話の表層をなぞるだけではなく、「自分なりの感想」を持ちやすくなります。

つまり、「考えながら情報に接すること」が癖になる。これが「自分で考える力」の礎になります。

ダイアロジック・リーディングを実践していただければ、子どもは「ああ、本というのは、こうやって読んでいくのか!」と、自ら学んでいってくれることでしょう。小さなお子さんがいらっしゃるご家庭は、ぜひ、さまざまな能力を伸ばすダイアロジック・リーディングの手法を活用されてください。

思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ
加藤 映子 /著
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加藤映子 ◎大阪女学院大学・短期大学学長/大阪女学院大学国際・英語学部教授。Ed.D(教育学博士)。ボストン大学を経て、ハーバード大学教育学大学院(教育学修士・博士)に入学。同校で、本書のテーマである「ダイアロジック・リーディング」に出合い、研究を重ねる。専門分野は「言語習得」と「最新テクノロジーを活用する教育」。現在は、「子どもとことば」「絵本を通してのことばの発達」を研究課題としており、絵本の読み聞かせにおける母子のやりとりや読み書き能力の発達に関する親の意識調査などを行う。

『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)より

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