「AoYunと Longdai は、どちらも高い評価を受けているフランスのトップエステートで、明確なフランススタイルのワインです。シャトー・チャンユー・モーザーXVの新作『Purple Air comes from the East』は、明らかに中国のテロワール、特に寧夏の特質を尊重するワインです」と、中国のトップワインとなり将来の道を示すものだとモーザー氏は信じている。
「最高級畑のブドウは収穫時、そして発酵後に厳密に選別され、フレンチオークの新樽のみで24カ月間熟成されています。中国のワインだけではなく、世界のトップ・エステートのワインと飲み比べ、ベスト・オブ・チャイナがすでに世界の最高級の一つだということを認識して欲しいのです」
収穫期の様子
モーザー氏の最新作はワイン専門家には好評だが、世界の消費者の反応はどうだろうか。
「人々は中国ワインに関心を寄せていますし、すでに40カ国に輸出している我が社は間違いなく中国ワインの発展の最前線にいます。世界に評価してもらうことは確かに重要ですが、一番の課題は、10億人以上の潜在的な顧客を持つ中国の消費者の心を掴むことです。世界の一流酒に多額のお金を費やす彼らに、中国ワインにも注目して欲しいのです」
ビジョンは中国ワインのアイデンティティーの確立
今注目を集めている中国の寧夏は、ワインの黄金時代を迎えようとしている。100のワイナリーが存在し、約80件が建設中、50件が建設許可を申請している。葡萄畑の総面積は約32000haに及び、今後5年間で2倍になると予想されている。
今後、熟練した中国のワインメーカーの若き挑戦者が現れ、ベスト・オブ・チャイナの座を狙うことを、モーザー氏は期待している。
「長期的には、中国のワインはやはり中国人に造ってもらいたい。カリフォルニアのナパバレー、チリ、オーストラリア、それぞれの地域のワインに個性があります。ボルドーからさらに中国のワイン業界への投資が増えることが予想されていますが、ボルドーの会社が中国で非常にフランス的なワインを作るより、中国のテロワール、精神性など、中国を表現するワインを中国人に造って欲しいのです」
ただ単にクオリティーの高いワインだけでなく、新しい中国ワインのアイデンティティーの確立を重要視するモーザー氏。将来中国がどのようなワインを生み出していくかは非常に興味深い。コロナ禍を乗り越えて、彼らの健闘を期待したい。