KPIを用いるメリットは、なんと言ってもビジネスのスピード向上にあります。ある数字が自動でメール配信され、毎日見ることができれば、自分たちのプロジェクトが今、どのような状況にあり、これからどう進むべきかを即時に判断することができます。
KPIとKGIの違い
KPIに関して、よくある誤りを最初にお伝えしておきましょう。それは、KPIと誤解して、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を追いかけてしまうことです。会社全体の売上高、新規顧客数、利益率などがKGIに当たります。
プレゼンテーションで示されるゴールは多くの場合がKGIです。そして、KGIが順調に伸びれば、新しい取り組みの効果が出たと喜ぶわけですが、そこには盲点があります。
たとえば、新規顧客が増えた場合、広告メッセージがよかったのか、サンプル配布がよかったのか、チャネル向け商品説明会がよかったのか、その複合要因なのか。大きな目標であるほど、他の要因でも動く可能性があります。このため、KGIが下がったときには、いくらでも言い訳ができてしまうのです。そして、実際に悪くないのに販促ツールの見直しをかけるなど的外れな対応をして、本筋からどんどん外れてしまうのです。
もちろんKGIを見ることは、会社を経営していくときには重要です。しかし、現場で働く人たちにとっては、「売上目標は1000億円だからよろしく」と言われても動けません。
上司はKGIを因数分解して、「あなたの部署は集客を担当するから、新規顧客を◯◯人獲得してください」という具体的なKPI目標を与えることが重要です。こうした目標が示されれば、どんなイベントを年に何回やるのか、どのような広告を年に何回打つのか、いくらの予算の中でどれだけやるのかなど、具体策をKPI検討できるようになります。
大きな目標を達成するために、見なくてはいけない数字は何か。その数字はどんな要因で成り立っているのか。その具体的な要因を示すのがKPIです。目標とするKPIを達成し、それが積み上がったものがKGIになるという構造を意識しなくてはいけません。