時代はオープンソースと共創型に
さて、この事例から、われわれが学び得るものは何だろうか?
それは、まずは、自分あるいは自分たちが開発したものを囲い込まず、むしろ開放し、オープンソース的にふるまうことで、自らにも実りの果実をもたらすことだ。
昔は自分の開発物は自分のもの、自分たちの課のメソッドはその課のもので、なるべく秘密にし、門外不出とするのが普通だった。しかし、デジタルやソーシャルメディアが発達して以来、考え方は一変した。むしろ、開放し、オープンにすることで、評判を上げ、できれば実質的な「利益」にも繋げることを模索したほうが良いのだ。
自分たちの課でプランニングメソッドをまとめたら、積極的に社内でオープンにして、「良ければ使ってください」と言ってみる。評判が良ければ、本家本元であるあなたの課に、ビッグ・プロジェクトの依頼が舞い込むかもしれない。
実際、某広告代理店の若手プランナーが、自ら整理した「バズの起こし方メソッド」をネット上に公開したら、それが評判を呼び、実際の仕事でも成果を挙げることとなり、ついには独立して活躍している事例も知っている。
次に学び得るのは、解決策を策定するときに、共創型を模索することだ。中学校や高校に通う子供にもう少し勉強をしてもらいたいと思ったときに、親が勝手に勉強の枠をつくって、押し込めようとしないほうがいい。
子供の意見をよく聞いて、むしろ本人にアイディアを一緒に出してもらって、なんとか勉強に気持ちが入る方法を探すのだ。学校で勉強してから帰って来るのがいいのか、塾の自習室に行く習慣がいいのか、勉強部屋をつくるのがいいのか、思い切って家庭教師を試してみるのか……。
勉強するのは、親ではない、子供だ。本人と「一緒に」考える機会をつくることが、いちばん成果につながりやすい。
イケアのキャンペーンから学ぶ、オープンソースと共創型。時代のキーワードとも考えて良いだろう。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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