テクノロジー

2015.05.07 08:00

ビジネスエリート限定SNS「Marque 」年会費1500ドルで始動

Marque創設者のアンドリュー・ウェッセル(Photo via The Marque)

Marque創設者のアンドリュー・ウェッセル(Photo via The Marque)



世界の超ビジネスエリートらの悩みの一つが、SNSとの付き合いだ。多忙なスケジュールの中でソーシャルメディアの更新に割く時間などない、ましてやグーグルでエゴサーチをかけるようなヒマもない。

そんな世界のビジネスエリート限定でサービスを開始したSNSが、ロンドンに本拠を置く「Marque(マークと発音する)」。カネはあるが時間がない世界の成功者たちのサクセスストーリーづくりを支援する。専属チームによる投稿の代行やメンテナンスサービスつきで、年会費は1000ポンド(約18万円)。

初期メンバーとして名を連ねるのは、携帯電話の小売で財を成した億万長者、チャールズ・ダンストンや、大物投資家のベン・ゴールドスミス、不動産業界のビリオネアのニック・キャンディなど。資金提供者のリストにはTristan Capital PartnersのCEO、リック・ルイスや、クリスタルガラス企業のスワロフスキーの取締役、ナジャ・スワロフスキーといった名前が並ぶ。

参加者を絞ったSNSといえば、エリート限定の旅行クラブ「ASmallWorld」、名門校の卒業生限定の「IvyConnect」などもあるが、ソーシャル上の活動を代行してくれるサービスというのは珍しい。

Marqueの会員になるためにはメンバーからの招待が必要。さらに運営側の審査を通過することが条件。これにより、「既存会員の21歳の甥が職探しのために紛れ込む」といった事態を防いでいる。
「我々は、どのような人を推薦すべきかについては明確なガイドラインを示しています」と創設者のアンドリュー・ウェッセルは言う。
「会員はハイレベルな人物に限定し、大手企業の上級役員や、ヘッジ・ファンドやプライベート・エクイティ・ファンドの投資家。さらに、慈善事業やスポーツなど、専門分野において著しい実績を収めた人物に限定しています。また、これはいわゆる“エリート”のネットワークではなく、会員の学歴などは問いません」
会員が招待可能なメンバーは5名まで。会員数を増やすのが目的ではなく、質の高いコミュニティーを作り上げることが目標。「最終的に、“数千人”規模の利用者がいればいい」とウェッセル氏は言う。
「これは究極のニッチSNSです。まずは50人の初期メンバーからスタートし、英国では500から1000人規模になる見込み。ニューヨークやマイアミ、香港、シンガポールなどにも広げていきます」

もちろんセキュリティ面は厳重な管理が行われ、“業界で最高水準の安全性”を備えているとのこと。会員になれば他のSNSと同様、メッセージのやりとりや、プロフィールのアップデート、コメントの投稿が出来るのだが、前述の通り、メンバーらは「超多忙な人々」であるゆえ、投稿に時間を割くヒマがない。

そこで、Marqueのスタッフが会員の公開プロフィールの更新を代行するという点が、このサービスの最大の売り。スタッフらはプロフィールがグーグル検索結果の上位にくるよう、サーチエンジンの最適化(SEO)施策まで代行する。
現在、Marqueの会員であるRic Lewis氏のプロフィールは、彼の名前で検索すると検索結果の2ページ目に表示されるが、「今後、SEO施策はさらに改善される」とウェッセルは主張する。運営チームは会員の検索順位を週ごとにチェックしている。
南アフリカ出身のウェッセルはこれまでのキャリアのほとんどを投資業界に置いたのち、2014年11月にMarque設立に向けてのリサーチを開始した。

「今の時代、オンラインでのネットワーク作りは欠かせないものです。しかし、ある一定のレベル以上に成功した人物は、大量のコネクション要求を浴びせられてしまう。従来のSNSでは彼らのニーズを満たせないことに気づいたんです」

Marqueの初期会員の多くは、40歳以上。忙しすぎるという理由だけでなく、そもそもソーシャルメディアを手ごわいものだと感じている層だという。

しかし、ここで疑問として浮かぶのが、次のような点だ。ミレニアル世代のような若い世代はTwitterやLinkedInを十分使いこなしている。若き成功者らにとってMarqueは、本当に使われるサービスになるのだろうか。また、Marqueの初期メンバー50人の中で、女性は数名しかいない。今後、このサービスはもっと多様性を持てるのだろうか。
この質問に対し、ウェッセルは次のように答えた。
「サービスは会員の増加につれて進化します。メンバーの多様性の問題についても、会員が増加すれば自然と解決する話だと考えています」

文=パーミー・オルソン(Forbes)/ 翻訳編集=上田裕資

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