クリスマス前の悪夢、ロックダウンで英国の小売店に春以上の打撃

ロックダウンに踏み切ったロンドン(Matthew Chattle/Barcroft Media via Getty Images)


イングランドにおける2度目の本格的なロックダウンは、アイルランドやフランス、ベルギー、ウェールズ、スペインのカタルーニャ自治州、スロベニアなど欧州での動きに続いて実施された。これらの国々・地域で展開されているプリマーク店舗は、同社の総売り場面積の57%を占め、今回のロックダウン中に失われる売上高は推定で5億ドル近くとなる。

回復の鈍いアパレル販売


ABFのマイケル・マクリントック(Michael McLintock)会長によると、プリマークは、「秋冬シーズンのストックに向けて大量の商品を注文」していたという。ところが、それらを売りさばく期間が4週間も短縮されてしまったことで、年末セールの値下げ幅が大きくなる可能性がある。

アパレル・セクターや百貨店セクターのほかの小売店も、多くが同じ境遇だ。クリスマス商戦で繰延需要が発生し、売上が急増するのではないかという期待から、小売店は在庫を蓄えていた。英老舗百貨店マークス・アンド・スペンサーは2020年11月はじめ、上場して以来初の損失を94年ぶりに計上した。おもな原因は、9月26日までの半年間で、衣類と家庭用品の売上が41%減少したことだ。

2度目のロックダウンが始まった結果、マークス・アンド・スペンサーでは衣類と家庭用品の売上がさらに減少する可能性がある。オンライン売上による相殺分を考慮に入れても、その事態は免れないだろう。同社は今後、需要が低めのカテゴリーについて取り扱い商品の見直しを行い、需要と回転率が高い主流商品であるカジュアルウェアや子供服、下着、家庭用品などに力を入れる予定だ。

英国家統計局のデータを見ると、非食品部門全体では、9月の総販売数量がパンデミック前の2月を1.7%上回った。しかしアパレルと百貨店セクターは、2月と比べて、それぞれ12.7%と0.9%下回る結果となっている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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