贅を尽くした黒トリュフとチョコのコンビネーション
料理人の視点から、コース料理の後でも軽やかに食べられる、甘さ控えめのケーキを。今年の帝国ホテル 東京のクリスマスケーキは、東京料理長・杉本雄氏の手による黒トリュフとチョコレートのケーキ「Truffle『S』2020」が注目だ。
パリのパラスホテル・ムーリスで、稀代のシェフ2人の元で働いた杉本料理長は「驚きと楽しさを与える表現をヤニック・アレノ氏に、素材を素材らしくという表現をアラン・デュカス氏に学びました」と語る。普段から、塩や酢で素材本来の甘みを引き立てるデザート作りを行ってきたが、このケーキにも、そんなスタイルが反映されている。
杉本雄料理長
フランス伝統のブッシュ・ド・ノエルの形に落ち葉や羽のデコレーションが映えるこのケーキ、国産の和栗は甘さを控えるため、ほんの少しだけ砂糖を加えて真空調理してから、香りを立たせるためにローストし、仏産の栗のペーストと合わせた。上質なヘーゼルナッツがその香ばしさを増幅させる。乳脂肪分と相性の良い黒トリュフはマスカルポーネと合わせ、ほのかに塩を効かせることで、素材本来の自然な甘みを引き立てる。
極力砂糖を使わないスタイルだが、意外なほどに物足りなさはない。チョコレートの羽と木の葉に使用されているのはヴァローナ社のチョコレート、酸味のあるマンジャリとシナモンのような豊かな香りが特徴のカライブを使い分け、上質な満足感を約束する。
糖分のみならず、「切り株」の中心となるロールケーキのココア生地も、小麦粉を使わず、シューなどの飾りを除けば、グルテンフリーケーキとなる。消化に時間がかかるグルテンは食後感が重くなるから、という理由からだ。
コロナ禍で、「お客様が来てくださること、料理ができること、目の前に食材があること。そのすべてが当たり前ではないのだと気づいた」という杉本氏。環境に配慮したプラスティックをほとんど使わないパッケージというのも、帝国ホテルのSDGsへの前向きな取り組み姿勢を感じさせてくれる。
「Truffle『S』2020」 1万3000円(税込) 、限定130個
予約期間:〜2020年12月14日15:00 お渡し期間:12月19日〜25日
カカオ農園育ちのシェフが願いを込めるランタン型ケーキ
ザ・リッツ・カールトン東京のケーキは、これまでに世界各地の13のザ・リッツ・カールトンや系列のホテルで活躍してきたマレーシア出身のエグゼクティブ ペストリーシェフ、ジョン・ツーカンシェフの手によるもの。
東京に来て6年となるツーカンシェフは、「日本のお客様は質の高いケーキをよくわかっている」と感じているという。味のよさはもちろん「見た目のワクワク感がケーキにとっては大切」と、鮮やかな色彩や楽しいデザインも特徴だ。
ジョン・ツーカンシェフ
今年も、サンタクロースの服を模したスイーツなど愛らしい見た目のものも揃うが、圧巻なのが、チョコレートでできた「クリスマス ランタン」。実は、両親がカカオ農園を営んでいたというツーカンシェフは、幼い頃から夏休みなどにカカオの収穫を手伝ったり、カカオ豆をつまみ食いしたりして育った。チョコレートは特に好きな食材で「その製造過程を知っているのは自分の強み」だという。
ランタンの中央にあるキューブ型のチョコレートケーキは、甘い香りが特徴のヴァローナ社の「カライブ」を使用。バニラサブレの上にふんわりとしたグルテンフリーのモワローショコラ、フレッシュなパイナップルとライムで作った自家製ママレード、チョコレートガナッシュが入っている。
「パイナップルも私にとっては故郷の味。故郷の温かさを届けたい」とツーカンシェフ。ランタンのフレームも全てヴァローナ社のチョコレートで作られており、涼しい場所であれば数週間は楽しめるという。
「家で過ごす時間が多くなった2020年、大切な方々と過ごすクリスマスシーズンに未来への希望を与えるものは何かと考え、暗闇も明るく照らす光を象徴するものとして、ランタンにしようと決めました。私たちの作ったクリスマスケーキを囲みながら、あたたかく楽しい時間を過ごしていただけると幸いです」とシェフ。いつもと違う2020年の締めくくり、明るい未来への願いを込めていただきたい。
「クリスマス ランタン」 2万円(税別)
予約受付:~ 2020年12月14日 お渡し期間:12月18日~ 25日