光文社の書籍から読みどころをピックアップ。本好きな人たちのためのコンテンツ。

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コロナ禍により、多くの性風俗業者の売り上げが落ち込んだ。また、そこで働く人々の生活も苦しくなっている。

世間からの偏見の目もまだまだ根強いなか、今回の未曾有の事態がますます追い討ちをかけ、働く人たちの生活への支援はどうするべきかなど、性風俗業界にまつわる議論は絶えない。

風俗嬢の見えない孤立」(光文社新書)の著者である角間惇一郎氏は、大手ゼネコン企業で建築士として働いたのち、2年間、性風俗店に勤めながらキャストの実態調査を実施。これまでに5000人以上の風俗嬢と関わった経験を持つ。

以下、同書から一部引用し、今何かと話題になる性風俗業界を経済学から観察、性風俗業界の今と日本社会の課題について考える。


市場規模は5.6兆円以上?


性風俗産業の市場規模については諸説あります。

たとえば、実際に風俗店を経営していたこともあるコンサルタント・モリコウスケさんは、『デリヘルの経済学』(2007)の中で、風俗の市場規模は5.6兆円以上であると推定していました。

広告産業が約5.8兆円(2012)、旅行産業が約5.9兆円(2013)。モリさんの説が正しければ、性風俗産業は、誰もが「大きな市場」だと認識できるこれらジャンルと、ほぼ同程度の大きさを持っていることになります。

ただし、経済学者の飯田泰之さんは、『夜の経済学』(2013)の中でこの推定を少々過大ではないかとし、風俗嬢の平均収入や風俗店の店舗数などを元に3.6兆円という数字を導き出しています。

また、風俗関係のルポライターとして知られている中村淳彦さんも、『図解日本の性風俗』(2016)の中で、やはり同じような手順から風俗の市場は2.3兆~2.7兆円であると推定していました。

2.3兆円から5.8兆円となるとかなりの振れ幅があります。モリさんの推定がリーマンショック以前のデータを元にしていることをふまえても、やはり下方修正の方が説得力はあるかもしれません。

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