しかし、仮に2兆~3兆円台が性風俗産業の市場規模とした場合も、かなりの巨大市場であることには変わりありません。これは製菓、化粧品、ブライダル市場などとほぼ同程度の大きさです。少なくとも、出版や新聞の倍以上の市場規模を持っていることは間違いない、ということになります。
全国のプレイヤーの数は沖縄県の那覇市とほぼ同じ
それでは、これだけの市場規模を持つ風俗の世界で、風俗嬢として働いている女性はいったい何人いるのでしょうか。
先ほども名前を出した飯田泰之さんは、全国の風俗店の推計稼働店舗数と、一店舗の推計在籍人数をもとに、風俗嬢と呼ばれる働き方をしている人は全国におよそ30万人いると推定しています。
30万人というと、沖縄県の那覇市や、三重県の四日市市などの人口と肩を並べる人数です。風俗嬢の年齢別ボリュームゾーンである20~29歳の女性に限った場合、20人に1人が関わっていてもおかしくない数値になります。
なおこれは、店舗に所属しているなど、外部からその働き方を認知できる状況にある風俗嬢の数です。届出のない違法店で働いている女性や、いわゆる「ワリキリ」のような、個人での売春行為を行っている女性の数を正確に把握することはできません。そう考えると、この数字がもっと大きくなる可能性もあります。
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このように、市場規模と風俗嬢の人数を見るだけでも、夜の世界の規模が、かなりの大きさであることがわかります。多くの人はその事実を知らないけれども、性風俗業界は推定2兆~5兆円規模の一大産業として日本の経済圏に属している。
そして、そこには30万人以上ものプレーヤーと、その何十倍もの人数のユーザーがいる。このことは、まぎれもない事実なのです。
※この記事は、角間惇一郎氏の新刊『風俗嬢の見えない孤立』(光文社新書)から引用したものです。