次世代のロボット開発に必須の発想
「フィジカルなAIのスキルや研究を積み重ねることで、人間とロボット、ロボットと環境の相互作用を再定義できるようになるだろう」と論文の共同筆頭著者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンとスイス連邦材料試験研究所に所属するAslan Miriyev博士は説明する。
MiriyevとKovacらはフィジカルなAIを研究や教育活動に取り入れる予定だという。しかし、人間や動物のように動作する自律ロボットの研究をしているのは、彼らだけではない。
マサチューセッツ工科大学からスピンオフした「ボストン・ダイナミクス」は、設立から28年間で生きているようなロボットを数多く開発している。同社が開発した2足歩行の人型ロボット「Atlas」は、基礎的な体操の技を披露することができる。また、犬型ロボット「Spot」はドアを開けたり、部屋の電気をつけることができ、最近ではシンガポールでソーシャルディスタンシングを推進するために導入された。
米国の「Agility Robotics」も、2足歩行の人型ロボット「Digit」を年初にリリースしている。フォードは、Digitを2台購入し、宅配サービスのラストワンマイルを担うことができるかどうかを研究している。
ディズニーもヒューマノイドを開発し、10月末に動画をリリースした。このヒューマノイドは人工的な頭部で、近くの物体や人の動きを目で追うことができる。
生きているようなロボットの研究は、これまでも数多く行われてきた。しかし、インペリアル・カレッジ・ロンドンとスイス連邦材料試験研究所の研究チームが提唱した「フィジカルなAI」によって、今後はさらに活性化し、より体系だった研究が可能になるだろう。