アリババの利益を奪う中国政府の「独占禁止法」の巨大な衝撃

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一方で、中国のもう一つのネット業界の巨人であるテンセントは、規制の嵐を乗り切れるとの見通しを、投資家に伝えている。

テンセントのマーティン・ラウ社長は、12日のアナリストとの電話会議で、同社の戦略が政府の規制の枠組みに適合していると述べた。ラウ社長はさらに、デジタル決済やオンライン金融、資産マネジメントを含むテンセントのフィンテック事業が、政府の規制と完全に合致したものであることを強調した。

中国当局は先日、アリババの金融会社「アント・グループ」の350億ドル規模のIPOを突然中止させ、オンライン金融への規制強化を提案していた

テンセントのラウ社長は「当社はフィンテック事業を一定のスピードで成長させてきた」と、この分野への自信を語った。

しかし、「今後はすべてのインターネット企業が細心の注意を払う必要がある」と、中国政法大学の朱偉准教授は指摘する。今後はさらに別の、独占禁止規則の草案が追加される見通しであり、今回の草案の発表は、規制当局の考え方の転換を示すものだという。

「これまで中国は、インターネット企業の発展を促すために、彼らに有利な政策をとってきたが、今はより厳しい規制を導入する時期に来ている。今回の動きは、その始まりに過ぎない」と、朱偉准教授は続けた。

編集=上田裕資

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