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2020.11.20

20、30代の糖尿病患者も増え続けている──ギターを抱えた専門医が警鐘を鳴らす糖尿病医療のいま

医療法人松徳会・松本クリニ ック院長 松本和隆

生活習慣病、中でも糖尿病患者の増加については、危機感が高まっている。患者数の増加に加え、地域医療の人手不足と闘う糖尿病専門医・松本和隆は、Forbesの読者層にこそ伝えたい、糖尿病の恐ろしさについて語った。


白衣姿はもちろん、相棒のエレキギターを抱えた姿も様になる。松本クリニック院長・松本和隆がギターに夢中になったのは15歳、中学3年生のときだった。以来、医学に勤しみ、ハードロックを満喫する日々を過ごしてきた。

「両親共に産婦人科医。自分も医師になるものと思って育ってきました。ミュージシャンを志したこともありますが……両親に『医者になっても音楽はできる』とさとされ、『それもそうだな』と(笑)」

医大生時代は勉学に励むかたわら、バンド活動に夢中になった。そして、卒業後は三重大学病院の医局で研修医として研さんを積む。内科医への道が見えるなか、生活習慣病の激増が目にとまった。

「日本人の死因では、がんの次に脳血管疾患、心疾患が挙げられます。この血管疾患を起こす原因こそ糖尿病などの生活習慣病にほかなりません。患者の増加とともに医療費も右肩上がり。国の財政すら圧迫しつつある現状を何とかしなければ……。そんな思いが私の原点です」

2016年、三重県松阪市に松本クリニックを開業。エレキギターがモチーフの「映える」外観で、フロア内にはジムも併設。地方のクリニックとしては異色の姿だ。しかし、そのコンセプトはストレートなまでに患者目線に立つ。現在、糖尿病治療は日進月歩でアップデートされ、新薬が次々に登場している。治療を主導するのは広くアンテナを張り、最前線の知見をもつ松本だ。さらに、運動のプロの理学療法士、食事のプロでは管理栄養士が常駐。運動から食事までワンストップで治療・指導できる「テーラーメイド治療」を提供する。「なぜ運動や食事まで指導するのか。それこそ生活習慣病治療の基本であるからです。その名の通り、生活習慣病の原因は“生活習慣”。薬を適切に処方しても生活習慣という根本が変わらなければ意味がない。食事と運動をゼロから見直し、血糖・血圧・コレステロール値を下げられたら、必要以上の投薬もなくなるのです」

最前線で治療に励んできたものの、松本が危惧した時代から事態はさらに悪化し、糖尿病患者の増加が止まらない。厚生労働省によると、2017年の糖尿病患者数は過去最高の約329万人。有病者に予備軍も含めれば、その数は約2,000万人に及ぶという。


日本における糖尿病患者数は右肩上がりに増え続けており、糖尿病が強く疑われる人、または糖尿病の可能性が否定できない人は2007年以降 2000万人を超えている。「仕事が忙しく、会食の多い経営層の人たちほど気をつけなければいけません」と、松本は警鐘を鳴らす。


「コンビニ食や中食の普及によって若年層の糖尿病患者が増えています。若年層の糖尿病で何が懸念されるのか? それは合併症のリスクです。高血糖が続くと網膜に障害を起こし、進行したら失明の恐れもあります。腎臓障害を起こせば人工透析が必要になりますし、足壊疽によって足の切断を迫られることにもなりかねません。糖尿病は全身病です。20代で糖尿病を発症してしまえば、40代には合併症の心配をしなければならない。それでは豊かな人生を送るのは困難でしょう」

若年層の発病を抑え、合併症を防ぐには早期発見しかない、と松本。医療保険に加入している40歳以上の人は特定健康診査、いわゆるメタボ健診が受診できる。健診の結果、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)か予備群に該当したら、生活習慣の改善を支援する特定保健指導も受けられる。「世界でも類を見ないシステム」と松本氏は評価するが、受診しない、あるいは数値に異常があっても放置してしまう30~40代は少なくないという。「仕事が忙しく、なかなか病院には通えない。ビジネスパーソンならではの事情は重々承知しています。しかし、そのまま放置したら……? バリバリ働いて、60代になったら趣味に没頭しようと思って無理をしても、合併症治療で楽しい余生がおくれなければ本末転倒でしょう」

病気とうまく付き合いながら人生を謳歌していこう──


クリニックを開設して5年目を迎えた。テーラーメイド治療を提供する松本クリニックは、松阪エリアの糖尿病治療をリードする存在だ。しかし、松本は医療基盤の将来にも危機感をもっている。それは専門医というヒューマンリソースの問題だ。

「現在、日本の糖尿病専門医の数は6,000人強。予備軍を含めて2,000万人以上を診なければならないなか、これは心もとない数字です。もちろん内科医であれば糖尿病を診察し、薬を処方してくれますが、日々登場する新薬も含めて最先端の治療ができるかといえば、それは難しいでしょう。専門医の層が厚くなり、手厚く先端の治療をあまねく広げていきたい。しかし生活習慣病の専門医を志す医学生はまだ少ないのが現実です。大学病院での指導、地域医療の啓蒙を通して、私も啓蒙活動に尽力していけたらと思っています」

ドクターヘリで飛ぶ救急医、ゴッドハンドが腕を振るう脳外科医。ドラマで派手に活写される医療に比べたら、生活習慣病の専門医は地味に映るかもしれない。しかし、「なじみの患者さんと話しながら、いま、自分が確かに必要とされている──そう実感できるのは得がたいものです」と松本は静かに笑った。そこには、深いコミュニケ ーションを通し、患者の人生に寄り添って いく真摯な医師の姿がある。

患者と向き合いながら、診療時間が終われば家族とのひととき、趣味の音楽にひたる時間を欠かさない。このメリハリこそ、我慢・忍耐・苦労がつきものだった生活習慣病治療に一石を投じるものだ。


クリニックの外観には松本氏の愛するギターがあしらわれており、大きな目印になっている。

「ある糖尿病患者さんを診療していたときのことです。その方が『孫の結婚式があったんですが、出席しませんでした』と言うわけです。なぜですか? とたずねたら、『披露宴でフルコースを食べたら血糖値が上がっちゃうでしょ……』とのこと。いやいや、それって人生ですか? 楽しむところは楽しんで、次の日からまた節制したらいいじゃないですか、と私は答えました。生活習慣病はがんと違って、いきなり悪化して生命に関わることはまずありません。5年、10年……人生と並走しながら治療は続いていきます。豊かな人生を送りながら、だけど締めるところは締めて向き合っていけばいい。それが生活習慣病との付き合い方だと思うんです」

病気に人生を捧げてしまうことはない。人生をとことん謳歌しようじゃないか──松本のメッセージは患者に、そして医療シーンにも確かに響いていくだろう。

松本和隆(まつもと・かずたか)◎医療法人松徳会・松本クリニック院長。代謝内分泌内科学の 医学博士。三重大学糖尿病・ 内分泌内科にて病棟医長、副科長などを経て、2016年、故郷である三重県松阪市に医療法人松徳会松本クリニックを開院した。

松本クリニック https://www.matumoto-clinic.jp

Promoted by Matsumoto Clinic / text by Masataka Sasaki / photographs by Toru Hiraiwa / edit by Miki Chigira

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