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コロナ禍で人々の価値観や社会の在り方が揺らいでいる。ニューノーマルの時代において、プロダクトをつくるメーカーやその価値をマスに届ける広告会社は、社会にどのような変化をもたらすことができるのか。アイウエア業界でイノベーションを起こし続けてきたJINSの田中仁CEOと、広告業界に新風を吹き込んだThe Breakthrough Company GOの三浦崇宏代表。二人のイノベーターに、変化の起こし方について語り合ってもらった。


――新型コロナウイルス禍で、社会はどのように変化したと見ていますか。

三浦 緊急事態宣言下で、医療や流通の現場で働くエッセンシャルワーカーに注目が集まりました。僕は消費もエッセンシャルな方向に向かっていくと考えています。エッセンシャルな消費には二つあって、一つは生きていくために最低限必要なものの消費。もう一つは、本質的な消費、つまり絶対に自分にとって必要だと思われるものの消費です。たとえばコロナ後もミシュランの星付きの店の予約が埋まっていたり、ハイブランドの人気が依然として高いのも、後者の意味でエッセンシャルだからです。

田中 たしかにショッピングモールを見ても、価格帯やコンセプトが明確でないショップは苦戦していますね。明確でも中間価格のところは厳しい印象です。

三浦 じつはうちの会社も一瞬危なかったんですよ。リソースの半分を新規事業に割いて結果的に今年も成長できましたが、グズグズしてたら危なかった。いざとなればいまのビジネスモデルや組織体制をさっと手放す覚悟がないと、次のものは手に入らないと痛感しました。

田中 危機はその企業の本質的な弱さを露呈させます。JINSはリアルな店舗がメインで、デジタルが遅れていたから、そこはやはり影響を受けました。これは裏表で、もしネット上で今回のレベルのようなコンピュータウイルスが発生したら、こんどはオンライン頼りの会社が影響を受ける。JINSも両方を使った新しいビジネスを模索していかなければいけないと思いました。



三浦 いま全社をあげてDXに取り組んでいらっしゃいますよね?

田中 サプライチェーンから顧客体験まで、すべて見直しています。たとえば今年10月から「CLICK&GO」というサービスを開始しました。店舗にメガネを買いに行き、測定、レジ、加工、出来上がりを待つという時間をなくして、アプリ上で注文、決済をして、後はお店に取りに行くだけでいいというサービスです。

三浦 「DX」というと、生産性向上やECという話になりがちです。しかし本当は、顧客や従業員の生活や体験を向上させるものでなくてはいけません。そういう意味で、今回GOが企画からお手伝いさせていただいた大人向けカラコン「JINS 1DAY COLOR」(JINS公式ページ動画)も、ある意味でDXです。視覚のDXと聞けば、普通はVRグラスやARメガネなどプロダクトのデジタル化を思い浮かべます。しかし、このカラコンは、店舗に行く必要もなくスマホで注文ができる。シンプルですが、デジタルで買い方、届け方、使い方といった顧客体験を向上させています。DXの本質は「デジタルで体験を便利に、あるいは豊かにすること」だと考えています。


JINS 1DAY COLORは「大人の毎日に似合うカラコン」をコンセプトに、全8色を用意。カラフルでシックなパッケージデザインも目を引く

JINS 1DAY COLORは「大人の毎日に似合うカラコン」をコンセプトに、全8色を用意。カラフルでシックなパッケージデザインも目を引く

田中 「JINS 1DAY COLOR」は評判がいいですよ。カラコンはこれまで、若者のためのものだと思われていた。しかし、三浦さんのチームは「20代30代の大人たちも本当はメイク感覚でカラコンをしたいと思っている」という。そこでパッケージ開発からすべて携わってもらったら、SNSに「かわいい」と写真をアップしてくださるお客様が続出しました。

三浦 僕も勉強になったのですが、カラコンが届いたときの包み紙がかわいかったことが響いたようです。DXの顧客体験とリアルの顧客体験がうまくかみ合いました。


JINSの覚悟を伝えるクリエイティブ

――JINSには、ニューノーマルに最適な製品がラインナップされています。そのブランディングやクリエイティブをGOが担いました。

田中 テレワーク時代になって画面と向き合う時間が長くなり、目を労わる必要性がこれまで以上に高まってきました。「JINS SCREEN」はブルーライトカットのパイオニアで、累計販売本数は1100万本を超えるなど反響をいただいています。一方、子どもたちも外出が少なくなって、近視進行を抑制する効果があると考えられているバイオレットライトを浴びにくくなっています。その光を選択的に透過する「JINS VIOLET+」というレンズも、コロナ禍ではとくに重要な商品です。

三浦 すごいのは、これらの商品をコロナのずっと前から研究開発して良いもの作り続けてきたことです。コロナが来たから急にブルーライトカットの質を高めるのは無理です。JINSさんは、もともと他社の何倍もの手間をかけてプロダクトをつくっている真面目な会社です。イノベーションは、変わったことをやろうとして生まれるものではなく、顧客にとっての価値を真剣に考えた結果生まれるもの。JINSさんからイノベーティブな商品が次々と出てくるのは納得です。

バイオレットライトは太陽光の一部(波長360〜400mm)で、目に必要な光とされている。「JINS VIOLET+」は、目に有害な紫外線やブルーライトはカットしつつ、バイトレットライトは透過させることができる。


バイオレットライトは太陽光の一部(波長360〜400mm)で、目に必要な光とされている。「JINS VIOLET+」は、目に有害な紫外線やブルーライトはカットしつつ、バイトレットライトは透過させることができる。

田中 私たちのビジョン「Magnify Life」を実現するため、JINSは社員の姿勢として3つの Attitudeを定めています。その一つがHonest、つまり正直さです。いま三浦さんがおっしゃったのは、まさにHonestの部分でしょう。

三浦 ただ、生活者は真面目さに関心が薄いんです。真面目でなければイノベーションは生まれないのに、それをPRするだけでは伝わらない。どうやって伝えるかがクリエイティブチームの課題でした。

結果的には納得できるものができました。「JINS VIOLET+」のメッセージは「近視のない世界へ」。これはメガネ屋さんとして普通は言えない言葉でしょう。また、11月から始まった「JINS SCREEN」のCMコピーは、「その眼鏡は人を守れるか」。この問いかけは、他のブランドへの挑戦状といっていい。どちらもJINSさんの覚悟を伝えられたんじゃないかと。

田中 最終的にはすごくいいものになりましたよね。思い返すと、三浦さんと最初に仕事をした時は、かなりの摺り合わせが必要でした。それが我々の意図を一度汲んだ後は、しっかりと当ててきてくれますよね。

三浦  最初にぼくらが田中さんに、JINSのマーケティングプランをご提案したとき、「この企画をやれば売れるよ。でもそれはJINSじゃない」とおっしゃったことを覚えてますか? 自信を持って提案しただけに、本当に悔しくて。その後お時間をいただいて、クリエイターとクライアントというより、経営者の先輩に教えを乞うつもりで話をうかがったことを覚えています。



田中 売上や利益だけを求めるのなら、過去に色々なやり方でやってきました。しかし途中からそれだけを追求することには面白みを感じなくなり、世の中にない新しいスタイルを提案することがJINSの価値だと考えるようになりました。そのことを三浦さんに伝えたかったのです。

けれども、これは雲をつかむような話です。なにしろ私自身、新しいスタイルについてすべて見えているわけではないし、見えている部分も抽象的で言語化が難しい。私が何か言っても、わが社のスタッフは半分もわかっていないかもしれません(笑)。

三浦 田中さんは朝令暮改をためらわないから、現場のみなさんはついていくのが大変なんですよね(笑)。たぶん誰よりも顧客や従業員のことを考えているから、すぐ思いついてしまうし、すぐ伝えたくなってしまう。僕が田中さんとお話して得た最大の学びは、実直さと挑戦的であることは両立するということ。誰より真面目に向かい合っているから、常識にとらわれない発想や行動力が生まれてくる。

田中 とくにコロナ禍の最中は時間があったので、よく考えました。日曜の夜に、ふと思いついて三浦さんに電話してしまったり。

三浦 驚きましたが、同時にすごくうれしかったです。クリエイターが休日に経営者から相談されるなんて、こんなに光栄なことはありませんから。


挑戦しないと存在意義がない

田中 三浦さんの姿勢には、わが社のAttitudeである「Progressive」「Inspiring」「Honest」の3つがすべてあると思っているのです。とくにProgressiveでしょうか。挑戦的でエネルギーが溢れている。近いものを感じるので、相談しやすいなと思います。

三浦 ありがとうございます。GOはまだ30人の会社ですから、大手のマネをしても仕方がない。挑戦しなければ存在意義がないというくらいに考えています。だから僕たちがProgressiveになるのはあたりまえなのですが、そう考えるとJINSはあらためてすごいなと。業界1位なのに、いまもどこよりも挑戦してる。



田中 まだ何も成し遂げていませんからね。売上を伸ばすことが成功ではない。いままでにない新しいスタイルをつくるまで、模索し続けるしかないでしょう。

三浦 これだけイノベーションを起こしていてもまだそう言うのですから、一種の狂気ですよね。経営者はそうじゃないといけないと、田中さんを見て学びました。JINSさんの常識を飛び越えた事業づくりに、またご一緒させていただければうれしいです。


<関連動画>
JINS Innovations / JINS SCREEN篇


JINS Innovations / JINS VIOLET+篇


JINS 1DAY TVCM 登場編


JINS 1 DAY COLOR MOVIE


JINS Ultra Light Airframe『新しい日常』篇



JINS 1day
https://www.jins.com/jp/1day/special/

JINS 1DAY COLOR
https://www.jins.com/jp/1daycolor/

JINS
https://www.jins.com/jp/

The Breakthrough Company GO
https://goinc.co.jp/


Promoted by GO / text by Kei Murakami / photographs by Munehiro Hoashi

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