「自分は緊張しているのではなく、わくわくしているのだと、自分に言い聞かせること。ストレスのかかる状況を『怖い』ではなく『やりがいがある』ものだと捉えることで、恐怖をつかさどる脳の部位を活性化させるホルモンの分泌を抑えられることが、研究から示されている。さらに血管や肺が広がり、身体の準備ができる。結果、より鋭く素早い決断ができるようになる」
・不快感は成長につながる
自分が詐欺師に思える感覚は、自分が難しいことに挑戦しているポジティブなサインだ。自分が快適に過ごせる「コンフォートゾーン」から外れて初めて、真に飛躍できる。
心理学者で書籍『Better Than Perfect(完璧よりも上)』の著者であるエリザベス・ロンバードいわく、常に新しい体験を追求している人は、退屈な作業を繰り返している人よりも感情面での耐性や独創力があるのだという。
「自分の殻を破ることで、より強くなって自信がつき、仕事でも私生活でもより高いレベルへ到達することができる」とロンバードは指摘する。コンフォートゾーンから脱却することで、生産性、成長、独創力、適応性の向上といった恩恵を受けられるのだ。良く言われるように、「コンフォートゾーンは居心地の良い場所だが、そこでは何も育たない」のだ。
ノーベル文学賞を受賞した詩人マヤ・アンジェロウはかつて、「私はこれまでに11冊の本を書いたが、そのたびに『まずい、今度こそばれてしまう。私が皆をだましてきたことが、皆に分かってしまう』と思っている」と語った。インポスター症候群が引き起こす疑心暗鬼の心は、誰もが持つ可能性がある。重要なのは、それと上手に付き合い、ポジティブなエネルギーに変えることだ。
ホスピス看護師のブロニー・ウェアは著書『The Top Five Regrets of the Dying(死に際の後悔トップ5)』の中で、死の床にある患者に最も後悔していることは何かと尋ねた結果について綴っている。最も多かったのは、「他人の期待に沿って生きるのでなく、もっと自分に正直に生きる勇気があったらよかった」というものだった。自信のなさや恐怖に、自分が送るべき人生を送ることを邪魔させてはならない。未知への恐怖を好奇心に置き換えることで、自分の中のインポスターを最大の秘密兵器へと変えよう。