米ゼネラル・エレクトリックは先日、500億ドルという巨額の自社株買い戻しを決定した。このところの米国企業による自社株買い戻しへの欲求はすさまじい。
フォーブスが最近入手した資料によると、過去10年の間にS&P500指数構成企業は4兆ドル近い自社株の買い戻しを実施している。その一方、投資家らがミューチュアルファンドや上場投資信託(ETF)に注いだ金は1,000億ドルにも満たない。
自社株買いに批判的な人は、この手法は企業の未来のためにはならないと指摘する。しかし、ホワイトボックス・アドバイザーズのポール・カロスは次のように述べる。
「問題は企業にとって確実な投資先が他にあまり無いことだ。投資を決断するためには急成長を確信できるものがなければならない」
自社株の購入に続く資金用途が、合併や買収だ。オイル・ガス業界ではロイヤル・ダッチ・シェルがBGグループを700億ドルで買収。エクソンとモービルの合併以来の大きな動きなった。
また、これまでの事例を分析すると、自社株買いは株価上昇効果をもたらすことが確認できる。ビリニー・アソシエイツの調査によると、金額順の上位10件では3分の2の企業で1年後に株価が上昇しており、全社平均でも7.3%の上昇が認められた。
自社株が割安であるのならば、買い戻しは意味があることになる。GEのCEO、ジェフリー・イメルトはCNBCのテレビ番組で次のような皮肉を述べた。
「うちの会社の株は高すぎると、記者会見で答えたCEOを見たことがありますか?」
以下に、近年の巨額な自社株買い戻し事例を列挙した。
※順番は金額の大きさ順
アップル
年月日:2013年4月23日
金額:500億ドル
発行済み株式総数に対する割合:13.1%
12カ月後の株価増減:+29.2%
ゼネラル・エレクトリック
発表年月日:2015年4月10日
金額:500億ドル
発行済み株式総数に対する割合:19.3%
マイクロソフト
発表年月日:2006年7月20日
金額:400億ドル
発行済み株式総数に対する割合:17.2%
12カ月後の株価増減:+36.4%
マイクロソフト
発表年月日:2008年9月22日
金額:400億ドル
発行済み株式総数に対する割合:17.4%
12カ月後の株価増減:+1.5%
マイクロソフト
発表年月日:2013年9月17日
金額:400億ドル
発行済み株式総数に対する割合:14.6%
12カ月後の株価増減:+41.3%
マイクロソフト
発表年月日:2004年7月20日
金額:300億ドル
発行済み株式総数に対する割合:9.9%
12カ月後の株価増減:-7.5%
プロクター・アンド・ギャンブル
発表年月日:2007年8月3日
金額:300億ドル
発行済み株式総数に対する割合:15.1%
12カ月後の株価増減:+4.7%
アップル
発表年月日:2014年4月23日
金額:300億ドル
発行済み株式総数に対する割合:6.6%
インテル
発表年月日:2005年11月10日
金額:250億ドル
発行済み株式総数に対する割合:16.5%
12カ月後の株価増減:-18.5%
ホーム・デポ
発表年月日:2007年6月19日
金額:225億ドル
発行済み株式総数に対する割合:30%
12カ月後の株価増減:-30.6%
プロクター・アンド・ギャンブル
発表年月日:2005年1月28日
金額:200億ドル
発行済み株式総数に対する割合:14.9%
12カ月後の株価増減:+9.2%
インテル
発表年月日:2014年7月15日
金額:200億ドル
発行済み株式総数に対する割合:12.7%