重い歯周病が腸内の前がん細胞の発達、そして大腸がんの原因に

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「歯周病と大腸がん/ポリープに関する証拠は、これまでは一貫したものではなかった」と語るのは、ニューヨーク大学パールマッターがんセンターの准教授/アソシエイト・ディレクターであるジヨン・アーン(Jiyoung Ahn)博士だ。「今回の巧みに設計された大規模なプロスペクティブ(前向き)研究により、歯周病が大腸がん前駆病変の発達に関連しているという強力な証拠が得られた」

この研究では、両者のつながりに関するさらなる証拠が提示されてはいるものの、歯周病が間違いなく大腸がん/ポリープ発達の原因になっていると直接的に結論づけることはできない。

「歯周病は、社会経済的因子、糖尿病、肥満といった別の因子とも関連している。今回の観察研究の知見からは、因果関係を直接的に結論づけることはできない」とアーンは述べている。

がん発症に関しては、口内マイクロバイオームの影響を調べる研究が増加しており、今回の研究もそれに貢献するものだと著者らは述べている。

「口腔には、幅広い微生物のコミュニティが存在している」とソンは述べる。「口内衛生の悪さ、遺伝的感受性、喫煙、糖尿病、肥満といったさまざまな要因が口内病原体の過剰な増加につながり、そうした病原体が、宿主の炎症や免疫調節異常を誘発する可能性がある」と、ソンは説明している。

では、この相関性をさらに詳しく調べ、歯周病が実際に大腸がんや異常なポリープを引き起こすか否かを確かめるためには、今後どのような研究が必要なのだろうか。

アーンは以下のように述べている。「歯周病治療と大腸腫瘍発症の関係を調べる大規模な無作為化比較対照試験は、因果関係を探るひとつの方法になる。ただし、それには膨大なリソースが必要とされるため、実行可能ではないかもしれない。別の方法としては、口内マイクロバイオームや、直接の原因となる可能性がある病原体、結腸直腸腺腫の研究などが考えられる」

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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