アナリストは、ファーウェイがHonorを本体から切り離すことで、スマホ部門への打撃を抑えようとしていると分析する。ファーウェイ創業者でCEOの任正非は昨年、米国の制裁措置により同社の売上が数十億ドルも落ち込むことになると述べていた。
「ファーウェイはHonorを外部企業に譲り渡すことで、米国の禁輸措置を回避し、売却で得た資金をその他の部門に投資できる」と、北京本拠の調査企業Marbridge Consultingの担当者は話した。
米国商務省は昨年、ファーウェイに対する事実上の禁輸措置を発動し、ファーウェイとその関連会社38社が、米国企業と取り引きを行うことを禁止した。市場調査会社ストラテジー・アナリティクスの担当者は、「Honorの売却で、ファーウェイは同社のコア事業と従業員らを、米国の法的脅威から保護することになる」と述べた。
米国の次期大統領のジョー・バイデンは当面の間、国内問題に集中するため、トランプ政権が発動した禁輸措置の見直しは行わないだろう、とアナリストは述べている。「ファーウェイは、バイデンが同社に対する禁輸措置を解除するとは考えていない。しかし、バイデンがこの先、中国への制裁をさらに強化し、Honorをターゲットにするとは考えていないようだ」と、調査企業Canalysのアナリストは話した。
2013年に始動したHonorブランドは、格安スマホで中国で支持を伸ばし、その他のアジア市場でも好調なセールスを記録した。
調査会社IDCが10月末に発表した世界のスマホ出荷台数ランキングで、ファーウェイは昨年の1位から3位に転落し、首位に立ったのはインドでシェアを伸ばしたシャオミだった。
「米国のバイデン新政権が中国への制裁を強化し、結果的にHonorも禁輸措置の対象とする可能性もある」とMarbridge Consultingのアナリストは話した。さらに、「Honorブランドの放出によってファーウェイは、マーケティング上の知見や優位性を失うことになる」とストラテジー・アナリティクスの担当者は指摘する。
米国による禁輸措置が続いた場合、ファーウェイのハイエンドモデルのPシリーズや、Mateシリーズは最終的には衰退していくと、Marbridge Consultingは予測している。
「米国企業が製造するチップや主要コンポーネントが入手出来なくなれば、ファーウェイのスマホ事業は継続が難しい。中国のスマホメーカーは、少なくとも当面の間は、5GチップやOSなどを米国企業に頼るしかないのが現状だ」と、Marbridge Consultingは指摘した。