コロナ禍で定期健診の後回しが急増 小児科の予防接種は「必要至急」

Jose Luis Pelaez Inc /Getty Images


がん検査受診率もコロナ禍で激減


この「防げるものは防ぐべきだという当たり前の考え方」が、何故かなかなか浸透しないのか、私はいくつか理由があるように感じている。

1つは、病気は実際に自分が体験してみないと、なかなかその大変さが身にしみないという点だ。これはどんな病気にも共通する。私の日頃行っているチャーミングケアの活動でも、それは如実で、外見ケアが必要な状況を体験したことがない人からすると、そんなことなど他人事になってしまい、なかなか深く考える機会がないのだ。

もう1つは、吉川さんのお話にもあった「自分だけのためでなく、他の誰かのため」という視点が、一般的に認知されていない点だ。これは、実際、私も長男の水疱瘡罹患の際に強く感じた。人にうつしてしまうことの恐ろしさだ。病気にかかるということは、その当事者だけの問題では留まらないのだ。

コロナ禍において、病院自体への受診率が下がり、予防するという感覚が後回しになってしまう現象は、このワクチンの問題だけではない。

なんと、がん検診受診率に関しては、2020年5月は、前年同月比8%の受診率という衝撃的な数値が日本対がん協会から発表された。早期発見・早期治療が重要ながんの検査受診が、激減してしまっていることに大変驚いた。

これを受け、病院に行かなくても検査が受けられるようオンライン申し込みを整備したのは、以前こちらでも取り上げた線虫がん検査N-NOSE(エヌノーズ)だ。

専用Webサイトで検査を購入し、自宅等に届く検査キットで採尿した検体(尿)を「N-NOSE ステーション」に提出すると、検査結果が郵送で手元に届くサービスだ。

このような検査であれば、紹介したN-NOSE(エヌノーズ)のように自宅でもできる可能性はある。しかし、予防接種や定期健診などはそうはいかない。

病院を受診しないと接種することが難しい予防接種の、コロナ禍での受診率に関して、NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会が独自アンケート調査を実施した。その結果、「コロナ感染が怖い」などで、全体数553人の16%が予防接種を先送りしたということが判明した。

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出典:NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会
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文=石嶋瑞穂

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