コロナ禍で定期健診の後回しが急増 小児科の予防接種は「必要至急」

Jose Luis Pelaez Inc /Getty Images


コロナ禍にも、数件、このことに関してチャーミングケアに連絡が入った。「小児がんの治療によって抗体がなくなっている。再接種をしたいのだけれど、サポートをお願いできないか」という問い合わせがほとんどだ。

そのうちの1件に関しては早急に手続きを進めたのだが、その後、当人から連絡があったのは、緊急事態宣言前に一度だけだった。

それは「コロナ禍のなか、予防接種のために小児科に来るのはお勧めできないと診療機関から言われた。再接種はあらためてすることにしたので、また連絡します」というもので、それ以来、連絡は途絶えてしまった。

いわゆる小児科への「受診びかえ」というものだった。そういう案件が、実は2月から8月くらいまでに3件ほどあった。

受診びかえの問題に対して、厚労省などからも、定期予防接種や乳幼児健診への受診促進の発信が行われた。しかし、実際には、定期健診や予防接種で私たち親子が訪れた数カ所の小児科でも、受診する人がまばらだった。

そんな折、どうにかこのコロナ禍で、ワクチン接種の重要性を伝える場はないものかと考え、ワクチン関連の啓発を行っている他団体より昨年からお誘いを受けていた「ワクチンパレード」に参加することにした。

ワクチンパレードというのは、毎年1度ワクチン接種啓発に関わる患者会が集い、東京の霞が関周辺をプラカード片手にパレードをするというイベントだ。

今年に関しては、コロナ禍の影響もあり、10月8日にオンラインシステムで運営者のいる国会議員会館と全国の患者会を繋いで、ユーチューブで配信するという形で開催された。

2010年から開催されてきたイベントで、毎回患者会の数が増え、今年で11回目を迎える。今回は9団体が参加。毎年恒例として行っている、希望する全ての人にワクチンを無料で提供できるようにという共同要望書を厚生労働大臣宛に提出した。

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ワクチンパレード運営委員の千葉県保険医協会吉川恵子さんは次のように語る。

「活動のなかで、インフルエンザにかかってしまったらこの子は命取りなんですというお声をいただいたことがあります。代謝異常により、ワクチンを接種しても免疫がつかない、もしくはそもそもワクチンを接種できない人がいるということをそのとき初めて知りました。

社会免疫という形で、自分のためだけでなく他人のためにも、打てる人がきちんとワクチンを接種して、病気にかからないようにすることも、ワクチンの役割の1つだとこの活動を通して知りました。

毎年いろいろな患者会さんに、それぞれの経験談をお話しいただきます。その話を聞くと、人生観が変わるというか、防げるものは防ぐべきだという当たり前の考え方をあらためて強く感じます」
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文=石嶋瑞穂

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