ビジネス

2020.11.19

リモート時代に必要な「遠くから寄り添う」従業員管理

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分散ワークの増加に伴い、人事部は個々人に合わせた管理をする必要がある。一律的なポリシーを減らし、気配りを増やし、情報を収集し(あれこれ「詮索」するという意味ではない)、各従業員の個人的な事情を理解することが重要だ。

各人がどのような生活をしているか、リモートワークの環境はどうか、新しいパソコンや事務用品を必要としていないか、子どもやその他の扶養家族はいるか、何か特別な支援を必要としていないかなどについて、しっかりとした敬意をもった上で、できる限り深く理解することがますます重要になっており、さらには矛盾を露呈させている。企業が見込み客についてのデータ収集への関心を高める一方で、自社の従業員については無関心なのは、全く筋が通っていないではないか、と。

分散ワークは会社に分断を生んだり、企業文化を害したりすることはなく、むしろ企業が従業員のことを気にかけていること、コロナ対策を通じて従業員の健康を守っていること、従業員が必要とする支援を与える用意があること、雇用契約の一部である福利厚生を新たな環境に合わせて提供していることを、従業員に感じさせるための機会であることを、会社側は理解しなければいけない。

ただでさえオンライン会議が多い中で「バーチャルカフェ」などを企画するのでなく、チームの現状を上司が知る機会となる気軽な会話をどうしたら復活させられるかを考えること。また、困難な時期である今、従業員が直面している問題に対処するためには異例の措置が必要となるかもしれないことを理解し、それを当然のこととして捉える必要もある。

特殊な事情には、さまざまな種類と規模があり、家族が病気になったり、自宅で子どもの面倒を見る時間が増えたりといった問題が起こり得る。企業は従業員の状況を把握するのみならず、解決策を提供する努力をすべきであり、特に福利厚生が重要な強みとされてきた企業ではそうした努力が重要になる。

分散ワークの時代に合わせて組織を改革し、従業員を単なる「リソース」として扱うのを止め、適切なリーダーシップの観点から従業員との関係を見直すことは、将来多くの企業が直面する重要課題のひとつとなることは間違いない。

編集=遠藤宗生

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