影響は想像以上? 米国の学園都市、コロナ禍で深刻な雇用不安に

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タスカルーサと同じような危機にさらされている大学の町は、ほかにも数多く存在する。イリノイ州シャンペーンにあるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校では、住民1万3934人が働いている。この数はシャンペーン総就業者の32%に相当する。同校は感染者増加に悩まされており、11月5日時点の累計陽性者数は3241人だ。

アラバマ州の主要大学であるオーバーン大学は、11月5日までの累計陽性者数が2047人に達している。同大学で働いて日々の糧を得ている住民は8446人と、オーバーン総就業者の3分の1を超えている。

もうひとつ例を挙げよう。2万人弱の学部生を抱えるオハイオ州のマイアミ大学オックスフォード校は、11月5日までに2248人の陽性者を出しているが、その数はいまも増える一方だ。経済面を見ると、オックスフォードの住民は同校に依存しきっており、総就業者の3分の2以上(69%)にあたる3215人が働いている。

新型コロナウイルスに対する大学側の反応


大学やカレッジはすでに、新型コロナウイルスのパンデミックでもたらされた前例のない財務負担で厳しい状況に置かれている。パンデミックによる余波は無数の側面に及んでいるが、大きな打撃を受けているのが、とりわけ重要な収入源である大学寮の寮費と食費だ。

人が集まることで収入が得られるスポーツなどのイベントを除外すれば、大方の大学やカレッジは、収支がとんとんか、運営のほとんどが赤字だ。一方で、大学の寮費と食費は、以前から利益が得られる大事な収入源だったが、感染が拡大したことで、通常であれば大学やカレッジにとってきわめて重要であるそうした収入源が完全に断たれてしまった。

さらに、大学やカレッジが被る新型コロナウイルス感染症の影響は、これまでも、そしてこれからも、すべて一様というわけではない。

大学やカレッジの組織としての体力や反応は、学校によって大幅に違う。従って、一部の大学やある種の大学は、ほかと比べるといっそう過酷な状況を強いられている。たとえば、多額の寄付金が集まる裕福な大学は、小規模の公立や私立の大学・カレッジと比べて、パンデミックの嵐をうまく乗り切れる可能性が高い。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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