学校を再開するにはどうすればいのか、どのようなかたちで授業を行えばいいのか、そして重要なこととしてパンデミックの影響で創立以来いまだかつて直面したことのない財務負担を強いられながら予算をどうやってやりくりすればいいのかなど、大学やカレッジは難しい選択に迫られている。
それと関連して、パンデミックがもたらすさらに大きな懸念材料のひとつが、大学のある町が受ける大きな打撃だ。大学やカレッジを擁する町では、住民の多く、それどころか大多数が、キャンパスや関連施設、さらに、そこで実施されているプログラムで働いている。
大学が再開し、授業も業務も通常どおりに行われるようになったとはいえ、元通りになったわけではまったくない。
新型コロナウイルスが学園都市に与えた影響
大学やカレッジは、米国経済においてきわめて重要な役割を果たしている。全米各地の大学を擁する多数の町では、膨大な数の米国人が働いているのだ。しかし大学は、そのお膝元である町にきわめて多くのメリットをもたらす一方で、マイナスの影響をも与えることがある。大学がある町の経済は、大学で働く人が多いゆえに、その財務的な浮き沈みにひどく翻弄されてしまいがちだ。
米国の多くの学園都市では、今回のパンデミックで、以前から町を支えてきた経済的土台が危険にさらされている。
大学生向け奨学金情報サイト「BrokeScholar」は、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が追跡調査する大学別の新型コロナウイルス感染状況データと、それぞれの町の年次財務報告書から抜き出した雇用統計を集約して報告書にまとめた。その結果、新型コロナウイルスの感染者を多数出している大学は、所在地である町の住民にとって主要な雇用主である場合が多いことが明らかになった。
たとえば、アラバマ州タスカルーサにあるアラバマ大学は、陽性者数累計が11月5日時点で3037人に上っている。タスカルーサの2019年次財務報告書によると、多数の住民がアラバマ大学で働いている。その数は1万1403人と群を抜いて多く、同市総就業者の24.03%に上る。感染がさらに拡大し、大学の業務や授業を継続できない状況になれば、タスカルーサ総就業者の4分の1は生計を立てられなくなる。