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2020.11.15 07:30

累計400億円調達の空飛ぶタクシー「リリウム」の野心的プラン

(C)Lilium

(C)Lilium

電動航空機を開発するドイツのミュンヘンのスタートアップ「リリウム(Lilium)」は、不動産開発会社タビストックと提携し、2025年までに観光地フロリダに都市間輸送ネットワークのハブを建設し、空飛ぶタクシーの実現を目指している。

英国のビリオネアのジョー・ルイスが所有するタビストックは、フロリダ州のオーランド空港に隣接するレイク・ノナ開発地に、8つの着陸ベイを備えた専用空港を建設する。

2015年設立のリリウムは、既存の航空会社がカバーしない大都市間の輸送を、オンデマンドで安く、速く提供することを目指している。同社は、2017年に中国のテンセントが主導する調達ラウンドで、9000万ドルを調達し、スカイプの共同創業者でビリオネアのNiklas Zennstromが設立したVCの「Atomico」からも資金を調達していた。

リリウムのチーフ・コマーシャル・オフィサーのレモ・ガーバーによると、同社の航空機は最大4人の乗客とパイロットらを、時速186マイル(300キロ)で運ぶことができるという。つまり、自動車であれば2時間近くかかるオーランドからタンパまでの移動を、30分に短縮できることになる。

リリウムの航空機は、ヘリコプターのような垂直離着陸が可能で、巡航速度や燃料効率は一般の航空機とほぼ同じという。

コンサルティング会社のローランド・ベルガーによると現在、eVTOL(垂直離着陸型航空機)領域では、世界で約100のプロジェクトが進行中という。ウーバーは、現代自動車やトヨタが出資するカリフォルニア州のスタートアップ「Joby」を含む複数のeVTOLのスタートアップと提携を結び、2023年に都市部でエアタクシーサービスを始動するという野心的目標を掲げている。

リリウムは、今年3月の火災でプロトタイプの機体を焼失したことや、新型コロナウイルスの影響で、開発を遅延させているが、2025年の立ち上げには間に合うと述べている。

リリウムは今年、既存出資元のテンセントらが主導するシリーズCで、2億4000万ドルを調達していたが、6月にはさらに、スコットランドのベンチャーキャピタルBaillie Giffordから企業価値10億ドルで3500万ドルを調達していた。

リリウムの累計調達額は3億9100万ドル(約410億円)に達しており、eVTOL分野で最大規模の調達額を誇るスタートアップとなっている。

編集=上田裕資

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