ビジネス

2020.11.15

「ぷよぷよ」から学ぶ仕事の消し方

イラストレーション=尾黒ケンジ


2. 凝視はほどほどに、の心得


ぷよぷよは、自分の連鎖を組みながら相手の動きを常に確認することが基本。これをぷよ用語で「凝視」と呼びます。凝視は非常に大切なテクニックですが、相手の画面を凝視するあまり、肝心の自分の盤面がうまくいっていないことに気づかず負けてしまうこともよくある敗因なのです。

仕事に置き換えるとどうか。特に若手のころは、他人のことがとにかく気になるものです。同僚より少しでもいい仕事をしてやろう、出し抜いてやろうと躍起になるあまり、他人の動きばかり気になって、自分の仕事でミスをした経験は誰にでもあると思います。仕事中に他人を凝視しすぎていないかを頭の片隅で意識しておくことで、自ずと自陣把握ができるようになるはずです。

3. 緊急発火の心得


ぷよぷよでは、10連続で消えるように組んだ本線を用意していても、それをスタートできる色が青しかない場合、青を引くことができなければ1つも消えないまま負けてしまいます。これを防ぐために、途中から連鎖をスタートできる色を複数用意しておくことを「緊急発火点をつくる」といいます。

例えば、ある程度仕事が詰まっている状態で仕事Aが行き詰まり、仕事B・Cにかける時間を圧迫し始めた状況で完全に仕事Aが止まった場合、仕事B・Cも同時に失う危険があります。

そうならないために、仕事Aの工程を一部スキップできるよう根回ししたり、別の人に助けてもらえる状況を事前につくっておくことが「緊急発火点をつくる」ということです。常に最悪の事態を想定して、積み上げた仕事に緊急発火点を用意することも、自陣把握をしていないとできない工夫です。

このように、ぷよぷよの考え方を仕事にうまく応用できれば、冷静に自分の仕事の状況が把握できるようになるはずです。仕事(=ぷよ)はどのくらい積まれているか、他に意識を取られて崩せない状態なっていないか……。自分の状態を客観的に俯瞰できるよう、常に意識し続けること。

応用できる部分があれば、この自陣把握のイメージを持って仕事を管理してみてはいかがでしょうか。仕事と人生はパズルゲームのように、簡単にリセットはできませんので。


電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

大江智之◎eスポーツ担当。広告クリエーティブの力を生かして、広告制作から聴覚障がいのある子どものための音楽教育ツール「Palm Beat」などプロダクト開発まで幅広く行う。

文=大江智之

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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