I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Luis Alvarez/Getty Images

起業を目指す者にとって、海外の投資家を見つけることは常に難題となってきた。従来は、ロンドンだろうがミュンヘンだろうがシリコンバレーだろうが、起業家の方から投資家のいる場所に出向く必要があった。

これはしばしば、起業家にとって移動面での問題を生んだが、そうした問題は比較的小さく、多くの場合は公的機関や民間企業が投資家との会合をアレンジするツアーに参加することで解決できた。しかし、その先に大きな問題が生じることも多かった。特に相当な量の資本が関わる場合、起業家は投資家から、会社の本社を自分の陣地に移転させるよう要求された。

このため多くの起業家は、海外にいる投資家の元へと足しげく通い、運が良ければ、多大な苦労を強いられつつもその国に拠点を移して、投資家から資金のみならず、影響力やコネをも享受していた。投資家からのメッセージは明白だ。シリコンバレーの有力なベンチャーキャピタリストである私からの投資がほしければ、本社をサンフランシスコに置くこと。そして、打ち合わせのたびに私が世界を横断したり、あなたの航空券代を出したりするなどとは期待しないように、と。

ところが新型コロナウイルスの世界的大流行が始まると、誰もがZoomなどビデオ会議ソフトを使いこなすようになった。これまで時たましか使っていなかった、あるいは全く触れたことがなかったツールが、今や日常の一部になったのだ。

今では、画面を通した日々の打ち合わせに慣れ、人との接触をできるだけ避けようとする多くの投資家が、こうした場所的要件を緩め、遠く海の向こうにある企業のプロジェクトを吟味することを厭わなくなっている。というのも、いずれにせよ関係構築はビデオ会議を通じて行われるからだ。

ビデオ会議は間違いなく世界をフラットにした。シリコンバレーでは今や、多くの投資家が国外からの起業家の売り込みや交渉に応じている。これは、特に欧州企業の多くにとっては有利な状況だ。欧州企業の多くはこれまで、自社が海の向こうのエルドラド(黄金郷)の有力投資家から投資を受ける対象にはならないと思っていた。今や機会は拡大し、他の環境で起きていることに対するオープンな姿勢が作られ、これまで自分とは無縁だと思っていた投資家にも接触できる可能性が広がっているのだ。

編集=遠藤宗生

PICK UP

あなたにおすすめ