この分野で注目のスタートアップ企業が、テキストメッセージを基盤とするプラットフォームの「Subtext」だ。Subtextは既に米国のGannettやバズフィード・ニュース、Hearst TVなどで利用されており、テキストメッセージで読者にニュースを伝えている。
同社のCEOのMike Donoghueによると、Subtextのプラットフォームは、大手のSNSや伝統的なメールマガジンよりも、読者と「親密な」関係を築けるという。
「ツイッターやフェイスブックのような大手SNSの言論空間は、特にここ最近、辛辣な意見に満ちており、安心できる場所ではなくなった」とDonoghueは話す。
Subtextは、特定のスポーツチームのファンや、他では得られない情報を手に入れたいジャーナリストのために設計されており、SNSに読者を奪われたメディア企業の注目を浴びている。
先日、Subtextをテスト導入したInc編集長のScott Omelianukは「ツイッターで読者からサブスクリプション費用を得ることは出来ないが、Subtextなら可能だ」とインタビューで話している。
「私たちは将来的に、コンテンツを大切にしてくれて、お金を払ってもいいと思ってくれる、より小規模で情熱的な視聴者とのコミュニケーションを大事にしていきたい」と彼は続けた。
Subtextは公共ラジオのNPRや、USAトゥデイにも利用されており、ユーザー数は合計で45万人に達している。Donoghueによると、Subtextのメッセージの開封率は90%に達しており、一般的なダイレクトメールの開封率の5倍近くだという。さらに、解約率も2%以下に抑えられている。
Subtextは昨年、24の地方新聞を傘下に持つデジタルメディア企業「Advance Local」のインキュベーション部門The Alpha Groupの支援で設立された企業で、当初はProject Textと呼ばれていた。
メディアアナリストのゴードン・ボレル(Gordon Borrell)は「新聞という伝統的メディアのパブリッシャーが、ポケベルの時代からある古いツールの良さを再認識したのは、非常に興味深い」と話す。「ただし、テキストメッセージは非常にパーソナルなメディアであり、広告ビジネスを展開する場合は、新たなリサーチが必要になる」と彼は続けた。
ボレルによると、テキストメッセージの読者たちは、日々の暮らしに関わる身近な情報だけでなく、よく行く店の割引クーポンなども求めているという。