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たとえばパワーポイントのプレゼン資料に「最高のカスタマー・エクスペリエンスを提供します」と書いておいて、そのために具体的に何をやるのかは、プレゼンの当日に口頭で説明するとします。

そうした場合、会議の出席者には詳細がその場で伝わるかもしれませんが、後日その資料を見直したときや、その会議に参加していない他者がその資料を見たときにはどうでしょう。「たしか、こういう話だっただろう」とか「こんなことをするって話だよね」と勝手に解釈してしまい、資料に書かれた真意がうまく伝わらない可能性があります。

そしてこうした誤解は、当初は小さなブレでも、時間が経つにつれ大きな解釈のブレになりかねません。その結果、最終的なアウトプットが大きくずれてしまい、本来の目的が達成できないという結果になってしまうことも考えられます。

小さな組織で、日頃から顔を合わせて、職場の状況や互いの考え方がわかっていれば、そういう問題は起こりにくいのでしょう。でも組織が大きくなるにつれて、互いの状況が見えにくくなると、そう頻繁に確認もできません。

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Getty Images

アマゾンも小さな組織だったときには、お互いの意思疎通についてそれほど気にすることはなかったと思います。会議資料をパワーポイントで作成し、箇条書きもよく使われていました。しかし、グローバル企業として成長していく中で、従業員や関係者の人数が膨大になって組織内での意思疎通が容易ではなくなり、その弊害が看過できなくなったのです。

そこで、ベゾスが2006年頃に設定したのが、「会議の資料は箇条書き禁止。ナレーティブを用いる」、つまり文章で書くというルールです。

ベゾスは、おそらく週に何十件という報告を受ける身です。なので人一倍、箇条書きの問題点に頭を悩ませていたのでしょう。

パワポの資料は会議の効率性を落とす伝達内容のズレ以外にも、パワーポイントの箇条書き資料には問題があります。

文章の資料を何枚も書くのは骨の折れる作業ですが、パワーポイントで箇条書きの資料は、比較的容易にすぐ作れます。枚数を気にせず思いついたことをスライドに列挙していき、会議当日は適当に飛ばしながら口頭で説明することも可能です。いわば「やっつけ仕事」での資料作成が可能なのです。

文=佐藤将之 編集=石井節子

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