ビジネス

2020.11.17 07:00

電子チケット販売に自由を。ZAIKO COOが見据える「D2F」という勝ち筋


──NetflixやSpotifyのように、世界で使われるプラットフォームを目指しているということですね。海外市場に対する可能性については、どう考えていますか?

もちろん、海外のお客様に対しても、最初からとても意識してつくっています。

ZAIKOは元々、インバウンド需要を見据えてサービスを準備していたこともあり、すでに多言語対応機能、多通貨決済機能を実装しています。約8億人のユーザーがいる中国最大の音楽ストリーミングプラットフォーム「QQ音楽」とも業務提携を結び、中国国内へのライブ配信も可能になりました。

配信だと、海外のお客様も日本のファンと同じタイミングでライブが楽しめるのがいいですよね。これからは、海外にいるファンも無視しないことが当たり前になるでしょう。

サービスとしてのグローバル性はもちろんですが、会社組織としてのZAIKOも多国籍です。現在スタッフは45人ほどいますが、日本人は半分。もう半分がアメリカ、フランス、イギリス、台湾、香港、韓国、ペルー、モロッコなどさまざまなバックグラウンドです。またエンジニアを含めて、女性が半数以上であることも意識して、チームをつくってきました。

でも正直、バックグラウンドが違う人と働くことは、決してラクなことではないんですよね。お互いに我慢しなければいけないこともあるし、言葉や文化が違うと一瞬効率が悪くなったように感じるものです。でも「違い」は多くのアイデアを生みますし、強い組織でいることができます。苦労よりもベネフィットのほうが断然大きいですから!

──これからはどんな部分に力を入れていこうと考えていますか?

1つは、サブスクリプション型プレミアム会員サービスを使った新たなサービス展開です。11⽉4⽇には⽉額 600 円でアーカイブ視聴期間の延⻑ができたり、ZAIKO内で過去にオリジナル配信されたライブコンテンツをいつでも視聴することができる「ZAIKO アンコールシアター」を楽しめたりする会員サービス「ZAIKO アンコール」をローンチしました。

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月額600円でライブコンテンツを楽しめる会員サービス「ZAIKO アンコール」。

アーティストがライブ映像の二次利用でマネタイズできるる仕組みは、業界初の試みです。そのほかにも、自分たちのファンクラブをつくったり、それをプレミアム有料会員化したり、VIPサークルを立ち上げるなど、この「会員制サブスク機能」を活用した新しいビジネス展開が自由にできるようになります。

つまり、このシステムとチケット販売を組み合わせれば、そのアーティストだけの「体験価値」をつくって売ることができるようになるということ。

ZAIKOのサービスは裏でシームレスにつながっているので、自分たちだけのファンとの繋がり方をいろいろと展開できれば、エンタメ業界のビジネスモデルも大きく変えていけるのではないかと考えています。


Lauren Rose Kocher(ローレン・ローズ・コーカー)◎ZAIKO取締役COO。1986年アメリカ生まれ。2008年シカゴ大学卒。同年に来日し、翌年コンサート・プロモーターの株式会社キョードー東京入社。2013年から株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントにて新規事業や渉外を担当。

文=松崎美和子、大竹初奈 写真=小田駿一

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