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2020.11.13

世界中の無駄を10%削減する──壮大なビジョンを掲げる大阪の雄の勝算

この世から「10%」の無駄が消えたら、どうなるだろう。

たとえば外食に行って、きちんと食べ切ることのできる量だけを注文する。同じものを二重に買わないよう、家にある食材を常にチェックする......こうした行動の積み重ねによって、食品ロスは減らすことができる。

目に見えるそれだけではない。無駄な生産コストも下げられるし、廃棄に掛かる費用だって削減できる。環境への負荷軽減にも繋がるだろう。

経済にも環境にもやさしい、「適切な量を生産し、適切な量が消費される」社会。

この実現を本気で目指す企業がある。ビジョンに「世界中の無駄を10%削減する」を掲げる、シノプスだ。

ビジョンへの一歩目は、小売業の無駄削減だ。小売業にとっての無駄とは、在庫の過多。解消するためには、発注を適切にコントロールすることが必要である。シノプスは、人に代わって発注を務める需要予測型自動発注システムを中心とした「sinops」シリーズを展開している。

2020年11月現在で、すでに小売業の14.2%に導入されており、導入効果としては、「発注時間 88%削減」「値引き・廃棄 19.1%削減」「欠品 34.7%削減」「在庫 15.2%削減」と驚異の数字が並ぶ。

「在庫とは、“罪庫”。欠品で企業は潰れないけれど、在庫過多のためにダンピング(投売り)に走り、企業価値を自ら毀損して潰れてしまう企業はありますから」

そう語るのは、シノプスの創業者であり代表取締役の南谷洋志。大手が踏み込めなかった、小売業や日配品の需要予測の領域をいち早く切り開き続けてきた彼の、信念を持った歩みを紹介したい。

幾度の反対を跳ね除け、前例の無い小売業の需要予測に挑んだ


シノプスの前身、株式会社リンクは1987年、大阪で設立された。南谷が大学時代に書いた卒論のテーマは「在庫管理とそのシミュレーション」。自然とこの分野に足を踏み入れたようにも思うが、創業当初の事業はまったく異なるものだった。

最初に取り組んだのは画像処理ソフトウェアの生産・販売。しかし、得意先の業績悪化に伴い事業転換を迫られる。それからは入出庫作業のピッキングを助けるシステムを販売しながら、ネットワークやLAN工事など何でもこなした。

時は流れ1996年。

とある卸会社との商談を終えた帰り、南谷は取引先で怒声を耳にする。

「『こんなにたくさん発注してどうするんだ』って、社長が発注担当者を叱ってましてね。仲裁に入ってアドバイスができるかもと、在庫管理の手法を見せてもらったんです。すると、Excelで管理されていて。『システムを使うべきですよ、私がいいものを見つけて来ます』と提案したんです」

その足で電気屋に向かった南谷。だが、求めるシステムは、なかった。

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「並んでいた在庫管理システムは、在庫の増減だけを管理する“お小遣い帳”のようなものばかり。また、『在庫が100個を切ったら自動発注する』というシステムはありましたが、売れるペースは商品によって違うし、さまざまな事情で需要の増減があるはずなのに一律なのもおかしいでしょう。需要予測ができるシステムが無いことに唖然としたんです」

アメリカのメーカーが要件に合うシステムを販売している情報も得たが、1億円を超えるものであり、とてもじゃないが提案できない。南谷は決意して取引先の社長に伝えた。

「ご紹介できるシステムはありませんでした。私につくらせていただけないでしょうか」

こうして、需要予測・在庫管理の分野へ一歩目を踏み出した。そして完成した卸売業向けの在庫管理システムは、とある企業の在庫を10億円から6.5億円まで圧縮するなど大きな成果を挙げた。3.5億円の“無駄”を無くしたのだ。

後日、南谷は小売業から「自動発注がうまくいっていない」という悩みを耳にし、小売業向け需要予測システムの開発を検討し始める。

小売業において発注は命。「その一端を担うには責任が重い」と社内から反対の声が挙がったが、周りを説得して開発。ドラッグストアなどに導入され、その評判は広まった。

勢いは止まらない。さらに、乳製品・豆腐など日配品の需要予測にも挑戦する。賞味期限が短い日配品は、予測が難しく失敗すれば小売業に大きな損失を与えかねない。「リスキーだ。やめておけ」とまた周りは止めた。

だが、「世の中に無かったから」と需要予測システムを開発した南谷がひるむはずもない。むしろ、逆境の中でこそ燃えるタイプ。

他社が敬遠する分野だからこそ自分たちが使命感を持って取り組むべきだと、リスクを取って参入を決め、この業界の“王者の座”を手にしたのだ。

プロダクトは“人”である。失敗の数だけ、磨かれていく


需要は、天候や価格、周辺の競合店舗の特売状況などあらゆる要因によって変動する。発注はいつも欠品と過剰在庫のトレードオフ。そのクロスポイントを見つけ、これまで担当者の勘と度胸と妥協によって行われてきた発注業務を代替できるようになるのがsinopsの特徴だ。

たとえば「商品Aは欠品のために販売数が伸びなかったが、すぐに補充できていればこれだけ売れたはず」「商品Bの売れ行きが伸び悩んだのは、同一カテゴリの別商品が特売対象だった影響を受けたため」など、商品のポテンシャルや販売数の要因も汲んで自動発注ができるというから驚きだ。

適切な量だけ発注できるようになれば、小売店は欠品や在庫過多に悩まされない。また、sinopsが発注を担ってくれるので、担当者は発注に費やしていた時間を別の業務に充てられるようにもなる。

小売店からのニーズが右肩上がりであることは容易に想像が付く。

ただ、sinopsは決して完璧なシステムではない。製品サイトでも「システムではなく、ひとりの社員です。人間のように、調子の良いとき、悪いときもありますが、毎日の経験の積み重ねにより、どんどん理想の社員へと成長。sinopsは、お客さまと一緒に成長していくパートナー」と紹介されている。

「『よく練られたシステムだね』と褒めていただくことがあるんですけど、たくさん失敗して、その分システムを磨き上げてきたからなんですよね。小売業のお客様との付き合いは16年になります。失敗しても信じて付き合ってくれたお客様がいたから今のシステムがあるんです」

ライバルも増えてきた。しかし、自分たちほど多くの失敗を経験して、都度システムを磨き続けてきた企業は他に無い自負がある。根気強く支えてくれた取引先の存在と挫折の多さこそが、真似できない強みの源泉だ。

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消費者起点のデマンドチェーンを構築し、“本気”で世界中の無駄を削減する


目下の目標は、小売業で40%のシェア獲得。達成できれば、多くの企業があらゆる無駄を削減して売り上げを伸ばすことができる。それだけでも市場に大きなインパクトを与えられるが、南谷が見据えるのはさらに先。

小売・卸・メーカー・原材料を繋げたデマンドチェーンマネジメントの実現だ。

現在の主流であるサプライチェーンマネジメントは、流通を最適化するためのもの。それゆえ供給側の都合優先だった。一方でデマンドチェーンマネジメントはデマンド(需要)を起点に供給量を調整していくものである。

「サプライチェーンマネジメントは、国土の広いアメリカだと合理的です。倉庫やバックヤードが広いから在庫を置いておけるし、卵やパンを生で食べる文化が無いので日本ほど賞味期限に敏感ではないから。ただ、日本の国土はアメリカの1/26。それに、江戸時代の藩から受け継がれる食文化があって、地域ごとに味付けの好みも違います。だからこそ、消費者の需要をリアルタイムで拾い上げて生産と供給を最適化する必要があるのです」

こうした構想があるからこそ、デマンドの起点である小売業のシェア獲得・データ収集から力を注いでいるのだ。

小売業で大きなシェアを獲得できたら何ができるか。小売業に商品を供給する、卸売業の在庫最適化を実現できる。物流コスト抑制も可能だ。

さらに上流のメーカーでも、地域ごとや中長期の需要に基づいて生産を進められるようになる。最終的には、原材料や包装資材の生産最適化にも貢献できるのだ。

「われわれが掲げている『世界中の無駄を10%削減する』というビジョンは、世界中から輸入されている原材料の在庫最適化に踏み込めたとき、やっと実現が見えてくると思うんです。まずは食品分野の上流から下流までを一気通貫で網羅したい。それが叶ったら、アパレルや医薬など他分野にノウハウを横展開していきたいです」

需要予測による在庫最適化、無駄の削減。その目標を愚直に追いかけるシノプスの姿から感じ取ることができたのは、「在庫を理由に企業を死なせてたまるものか」という強い決意だった。

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