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人が自分の人生に感じる満足度には大きな意味があり、しかもその影響が及ぶ範囲は本人だけではない。人生への満足度は、パートナーとの関係や仕事のキャリア、健康状態、さらには長生きできるかどうかといった個人的な事柄を左右する。だがそれだけでなく、国民の全体的な幸福度は、その国の生産性や国内総生産(GDP)、社会の結束にまで影響を及ぼす。

「レジリエンス(心の回復力)」は生まれつき決まるものではないとする、新たな研究結果が発表された。重要なのは、そもそもの人生に対する満足度で、これが高い人はそうでない人と比べて、人生の一大事からも立ち直りやすいという。

オーストラリア国立大学(ANU)クロフォード公共政策大学院准教授のアイダ・クビシェフスキー(Ida Kubiszewski)博士が行ったこの研究によると、心の安定の度合いは、その人の幸福度と、特定の性格的な特徴の組み合わせによって決まるという。

人生への満足度に関して、人にはそれぞれの「標準レベル」があるというのが、長い間の定説だった。確かに、宝くじに当たったり、ひどい交通事故に遭ったりした時には多少上下するものの、人生への満足度は最終的に、その人が通常時に感じていたのとほぼ同じレベルに戻ることが、複数の研究で判明していた。

しかし近年の分析から、失業、さらには親や子どもとの死別など、一部の出来事に関しては、満足度が簡単には回復しないことがわかってきた。これを受けて、満足度に標準レベルがあるとの説を完全に否定する研究者も出てきている。

クビシェフスキー博士の研究は、オーストラリアを対象とし、2001年から2017年にかけて「オーストラリアにおける世帯、収入およひ゛労働動態(Household, Income and Labour Dynamics in Australia:HILDA)」調査に参加した1万2643人から収集したデータを使用している。だが、この研究から得られた知見は、OECD加盟の先進国に広く当てはまると考えられる。

「そもそもの人生に対する満足度が低い場合、確固とした標準レベルを持たないケースが多いことがわかった。これは、いろいろな出来事がひたすら積み重なっていき、心の状態にそこから立ち直るだけの強さがないからだと考えられる」と、クビシェフスキー博士は語る。「一方、(満足度が)高い人には、すぐさま立ち直ることができる傾向が認められた」

クビシェフスキー博士の研究ではほかにも、自分を「感情的に安定している」「さまざまな経験にオープンに接する」タイプだと表現した人たちも、人生への満足度が元のレベルに戻っていたことがわかった。一方で、自分に「外向的」「同調性」といった気質があるとした人では、こうした傾向は認められなかった。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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