(3)消費者は品質が保証された物には出費をいとわない
多くの消費者は、値段に躊躇せずこの高価なオレンジを買う理由としてQRコードを挙げました。消費者にとって、QRコードをスキャンして得られる情報は、17.5°オレンジが厳しいプロセスを通過して選別された商品であることを示しているのです。17.5°という基準をもとに、消費者は高価なオレンジとそうでないものとを区別しています。
キー・ポイント:
・自社製品の高い品質を強調するため、より客観的に数値化されたわかりやすい評価基準を検討することが企業に求められます。商品に関する情報を明らかにすることで、消費者の客観的な評価を可能にし、自社の商品を選んでもらうことにつながります。
・消費者との信頼関係を築くために、企業は自社商品について消費者が知りたい情報を隠すことなく提供しなければなりません。
・通常、商品は高価格なものとそうでないものとで、品質に大きな差があります。基準を設けることは、ある商品が他に比べて高価である理由を消費者に理解してもらうために重要な手段となります。
インフルエンサーに代わる「KOL」とは
有名人によるお墨付きや、企業からスポンサー収入を得て大量のメッセージを投稿しているインフルエンサーが、中国のミレニアル世代から支持されていないという状況が最近の行動研究から明らかになっています。
有名人やスポンサーが付いたインフルエンサーに代わって支持を集めているのが、草の根で、いわゆる「ロング・テイル・マイクロ(long-tailed micro)」と呼ばれるキーオピニオンリーダー(KOL)と言われる人々で、彼らはもっと正直かつ公平に商品を評価します。このようなタイプのKOLはニッチないわゆる隙間市場に絞って活動し、少数のフォロワーを持つ普通の一般市民です。
中国ではXiaohongshuあるいはリトル・レッド・ブック(Little Red Book)と呼ばれるソーシャルメディア兼電子商取引プラットフォームが人気を集めています。当初は、中国の消費者が海外の商品を評価し、購入体験について他のユーザーと情報をシェアするプラットフォームとして創設されましたが、その後、メジャーな電子商取引プラットフォームへと成長しました。
そこでは商品評価、旅行ブログ、ライフスタイルなどがユーザー間でシェアされ、今では登録者が2億人を超えています。行動研究で明らかになったのは、このサイトのユーザーは有名人よりも、信頼のおける、知識に基づいた内容を発信しているKOLを情報ソースとして選んでいるということです。
このような状況は実際に2つのソーシャルメディアの投稿を比べてみるとよくわかります。一方は有名なインフルエンサーであるアンジェラ・ベビー(Angela Baby)、もう一方は草の根(一般市民の)インフルエンサーであるKaixinguaのそれぞれの投稿を比較します。
Kaixingua は自身のスキンケアの手順を全て写真に撮り、それらを順を追って投稿したところ、4万以上の「いいね」がつきました。同じ頃、有名なインフルエンサーであるアンジェラベイビーは彼女のスポンサー企業のベビー用品について投稿しましたが、「いいね」は8000しかつきませんでした。