「テクノロジーの力で物流を支えることがオプティマインドの使命」と同社代表取締役社長の松下健は言う。特に注力しているのが、物流の最終拠点から、店舗や家庭の戸口といったエンドユーザーまでの最終区間「ラストワンマイル」の最適化だ。
同社が開発した配車管理システム「ルージア」は、組合せ最適化機械学習などを活用し、配送先の住所や荷物の量、時間指定などを入力すると、配送ルートを自動的に計算する。
「最短ルートを示すだけではない。走行速度を精密に予測したり、混雑する道を避けたりすることで、ドライバーがおこす事故リスクを減らし、安全性の向上にもつながる」という。
松下は、大学で「組合わせ最適化」を学び、数式とプログラムで世の中の課題を解決するこの学問に「ほれ込んだ」という。さまざまな経験や人との出会いを得て自分なりにそれを具現化したのが、いまの事業だった。コロナ禍では、ドライバー不足や残業の増加、ベテラン依存といった物流業界全体が抱えていた課題が、さらに深刻化した。そんな様子を目の当たりにして、自分のなすべきことがさらに明確になったと松下は話す。
「コンシューマーが便利になればなるほどひずみが出て、現場の方々の心の余裕がなくなってしまう。コンピューターが得意とする部分はテクノロジーとアルゴリズムで解決して、現場の人たちがコンシューマーとコミュニケーションをとる時間を確保するなど、人の温かさの部分にフォーカスできる世界をつくりたい」
まつした・けん◎1992年、岐阜県生まれ。2015年、名古屋大学大学院在学中に合同会社オプティマインドを創業。17年、同社を株式会社化。同大学大学院情報学研究科博士後期課程に在籍中、専門は組合せ最適化アルゴリズム。