4.クリアで綿密な情報を関係者全員がもつ
advertisement
該当するステークホルダーに結果を報告し、要求に応じて、下記の者や組織がこの監査報告書を入手できるようにする必要があります。・規制当局:このプロセスを簡素化するために、企業が利用する報告の解決策には、規制当局との対話を促すアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)が含まれている必要があります。
・需要サイド(購入者):企業は、調達プロセスの一環で、技術提供者が作成した監査報告書を入手できるようにするべきであり、提供された情報に対するクロスチェックを、適任の第三者機関に義務づける必要があります。
・供給サイド(提供者):技術提供者は、契約入札の際に監査報告書を取り入れ、責任あるAIのリーダーとして自社を位置づけることが必要です。監査報告書は責任目的にも使用することができ、適正な検証プロセスの実施に際して自社がデューデリジェンスを行ったことの証明になります。
・消費者団体、市民社会組織:信頼できるシステムとの対話を確実に選択できるよう、適切なチャネルを通じて、消費者や市民がAIを導入している企業の報告書を入手できるようにする必要があります。
新しい規制への遵守を円滑に進めるひとつの方法は、遵守徹底を図る担当者を個別に指名することです。特にリスク・コンプライアンス・マネージャーは、このプロセスで重要な役割を果たす可能性が高く、AIシステムを監査する適切なソフトウェア(これに関する議論はこちら)の存在を考慮すると、このプロセスの大部分は自動化が可能だと考えられます。
迅速なアクションを
こうしたプロセスの実行には時間がかかるため、規制の影響を受ける可能性が高い企業は迅速にアクションを起こすことが重要です。このような監査・報告能力の構築を怠れば、予防可能な損害や、不十分な説明責任方針の定義、事業のレジリエンス(適応、回復できる力)の低下、最終的には、組織における企業義務の遂行能力の弱体化といった点で、莫大な費用を負担することにもなりかねません。
それでも、責任あるAIを導入する意欲を持つ企業が、その必要に迫られるまで希望を持ち続けるべき理由があります。
ビジネスリーダーは、自社ブランドの評価を守るだけでなく、より重要なこととして、自社従業員や消費者、社会全体との信頼を築くためにも、AIに関しては技術的社会責任の形を採用するべきであることが実証されており、このことを示す証拠はますます増えています。このような先を見越した姿勢が、勝ち抜くために適応する企業と、対処するための対応をとる企業との差をつくるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>
[Promotion]
▶特集: AI Business Transformation AIを経営の中枢へ ─「AI経営」
1. AIとヒトが補完し合うHRテックの理想形 新たな価値創造を目指すAGCの“人財”戦略
2. 【特別インタビュー】東京大学・松尾豊×AI & CO・野口竜司 データとAIのパワーを解き放ち、経営をアップデートせよ
▶PwC Japanグループ AI経営