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シネマの女は最後に微笑む


好意という思い込みと差別意識


ある夜、隣の友人ステファニー夫妻と4人でストリップショーを観に行ったレイチェルは、若いダンサー、マッケナ(ジュノー・テンプル)と出会う。

彼女のセクシーな所作に心底衝撃を受けたレイチェルは後日、ハリウッドの裏通りで偶然を装って近づき、たまたまトラブルに遭って住みかを失ったマッケナを、これ幸いとばかりに自宅に連れてくる。

自分がかつて持っていたはずなのに失ってしまったエロスを、なんとかして取り戻したい。そのテクニックをこの小娘から学びたい。

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(c)2013 AFTERNOON DELIGHT, LLC ALL RIGHTS RESERVED

しかし、セクシーさを学ぶための「教材」として連れてきたマッケナが、単なるダンサーではなく金持ち相手のセックスワーカーでもあったとわかったところから、事態は微妙な展開を見せ始める。

可愛くて性格も良さそうなマッケナが、プールでエロティックな仕草を教えた時はレイチェルと一緒にはしゃいでいた隣人ステファニーは、彼女が仕事について語り始めたとたんに明らかに冷ややかな態度になる。

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(c)2013 AFTERNOON DELIGHT, LLC ALL RIGHTS RESERVED

一方、レイチェルは、マッケナの滞在を疑問視する夫ジェフに「違う生き方を彼女に考えてもらいたい。力を貸したいの」と説明、自分がインタビューするから2人でブログを作ろうなどとマッケナに提案する。

ステファニーの態度は一般人の反応としてわかりやすいが、レイチェルの場合は、自分に差別意識などなくむしろ好意を示していると思い込んでいるだけに厄介である。

父親の顔を知らず住居も不定の若いセックスワーカーに対して、「救って感謝されたい」という浅はかな上から目線と、「セックスについて教えてほしい」というせっぱつまった感情が入り混じり、内心混乱をきたしているレイチェル。マッケナがむしろ泰然と落ち着いているのと、好対照だ。

小金持ちの素敵な家に連れてこられて、ずうずうしくなるわけでもなく、かといって変に萎縮もしないマッケナの自然体が好もしい。余計なお喋りはせず、にこやかではあるがあまり感情を表に出さない彼女の態度からは、レイチェルより10歳以上若くして社会の厳しい風に吹かれてきた人の諦観さえ感じられる。

文=大野 左紀子

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